利他主義者の多さは強さに関係する?運動パフォーマンスとの関係性
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]
あなたの組織の中には、自分のことよりも相手の利益や幸福を優先して考えることのできる「利他的な人」はいますか?実は利他的な人の多さは組織全体のパフォーマンスに影響する可能性が示唆されています。特に、取り組む競技をされている方は「強いチームにはなんとなくおおらかな人が多い気がする」「ギスギスしているチームは総じて結果が残せない印象がある」と感じることもあるのではないでしょうか。
そこで、この記事ではそんな利他主義な人の占める割合がチームの成功因子になりうるのかという点について、ある競技のプロリーグを取り上げた研究も交えて解説します。
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利他的行動、利他的な人とは
利他的行動とは、自己犠牲を顧みずに他人の利益を考え行動することです。具体的には「寄付」や「ボランティア」などの行動が挙げられます。また、このようなもの以外にも些細な「自分よりも先に順番を譲る」などの行為も利他的行動と言えます。
ヒト以外の動物は他人に利他的行動を行わない?
利他的行動はヒトだけでなく、さまざまな動物において行われています。ただし、多くの動物では利他的行動を行う対象は家族に限定され、ヒトだけが直接的な見返りの期待できない、血縁関係がない他者へも利他的行動を行うとされています。
本来、自分が損をし、赤の他人が得をする利他的行動は生存・子孫繁栄においてはマイナスな要因であり、進んで行うことに疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。しかし、実際に人間は他人へ自分の身体の一部を分け与える「献血」や「臓器ドナー提供」、自分の資産を分け与える「募金」などの利他的行動を行います。
こうした利他的行動をする方の多くは行動に対する「見返り」や「お返し」は求めていません。なぜ、ヒトがこのように赤の他人への利他的行動を行うようになったかは、これほど進歩した生物学においても説明できない”謎”であるとされています。