【前編】「カード会社所属のユーチューバー」異色の道を歩む男がYouTube事業化にこだわった理由
「金融企業」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持つだろうか。
きっと、多くの人が「堅い」と感じるかもしれない。
だが、そんな堅いイメージのある金融企業に勤めながら「ユーチューバー」、しかもそれが会社公認という「突破力」抜群の活動をしている人物がいる。
株式会社クレディセゾンのサイソンKAZUYA氏だ。
サイソン氏は現在、「サイソンKAZUYAチャンネル」という自身のチャンネルの中で、様々なトップアスリートらと対談し、競技面はもちろん、お金や恋愛、しくじりなどあらゆるトークテーマをくり広げている。
実はサイソン氏、元々は年間1000枚以上のプラチナカードを獲得するというトップ営業マンである。なぜ、そこからユーチューバーに転身し、現在に至るのか。
前編となる本記事では、そこに至った経緯や、そもそも何故入社したのか。さらには同氏が誇る「野心」や「突破力」に繋がるルーツを探った。
年間で2000枚売り上げた学生時代
今回も全社売上1位を誇るなど、これまでトップ営業マンとして貢献してきたサイソン氏。だが、元々金融企業に特別興味があったわけではなく、同社への入社は、思わぬ形で決まったという。
「元々大学の時に、スポーツブランドのショップ店員として、販売のアルバイトをしてました。そのお店が商業施設に入っていたんですが、よく、商業施設が作っているクレジットカードってあるじゃないですか。その施設でそのカードを使うと、○○%オフになるみたいな。
そのカードが、たまたまセゾンカードだったんです。
それで当時、働いていたショップで○円以上買って、さらにセゾンカードの入会申し込みをすると、割引します、といったキャンペーンがあって。
僕は、お客さんが沢山お買い物をしてくれるなら、そのカードを作ってもらった方が得すると思ったんです。
なので、カードを紹介していました。
お客さんからしても、クレジットカードを作るというハードルはあるものの、割引で買える。さらに、その割引になった分でさらに商品を買えるって思ったんですよ。
そうすると、お客さんにも喜ばれ、カード会社からも喜ばれるので、紹介を常にしていました。
商業施設ではよくあるクレジットカード紹介の事例。だがサイソン氏はショップ販売員ながら年間で2000枚、多い日では1日に100件以上紹介したこともあったというから驚きだ。
ただでさえクレジットカードを契約してもらうハードは高いように感じる。その中で、どのように顧客を増やしていったのだろうか。
「クレジットカードを作って頂くと割引になること、そしてそのカードを持っていることによって、『あそこで買い物したら割引されるからまた来よう』ってお客様が思う。そうやって上手くショップとカードの良いところ取りをさせてもらい、自店舗の顧客を増やしていましたね。
『こうしたらお客さんが喜ぶんじゃないか』といったことが、普段から自然と思い浮かんでいました」
「大学卒業後は、体育教師になりたかった」
桁違いのカード契約を打ち立ててきたサイソン氏をみた当時の支社長からオファーを受けたことがきっかけで、クレディセゾンへ入社。
だが、当時元々自身が抱いていた大学卒業後のビジョンは意外なものだった。
「実は僕、本当は卒業後、体育教師になりたかったんですよ(笑)
僕、どうしても体育の教員になりたくて、2年浪人して日体大(日本体育大学)に入学しました。卒業後は絶対に体育教師になろうと決めていました。
ただ、体育の教員になるにしても、「社会に出た経験のある教師」と、「ただ大学を卒業して教師になった教師」って、前者の方がイケてるし、生徒に対しても、社会的な視点でものを言えるなと思ったんです。
教員って、正直免許さえ持っていればいつでもなれる。少し社会に出てから教師になっても良いかなと思い、クレディセゾンに入社しました。
なので、正直、セゾンにずっと在籍しようとも思っていませんでしたね。
もちろん入社するときに、どういう会社なのかを十分に理解し、そこに対する魅力も感じていました。当時の私からすれば、大学生でしたし、一部上場しているカード会社というと、いわゆる「安定」だったり「すごい大きい会社」というのはあったので、そこに入社できるのは嬉しいなと思ってました」