「グレイシー一族に恨まれ続けた」元PRIDE戦士のコロナ禍で前進するためのポジティブ対談 『自分のやるべきことを100%やりきることがチームワーク』
人を思い準備とチームワークを大切にする
大山 準備ってスポーツに限らずどんなことにも大事だとは思いますが、大野さんにとっての準備とはどのようなものなのでしょうか?
大野 準備とは「これをしなかったから負けた」というような言い訳を一つ一つ潰していく作業だと思っています。だからこそ、南アフリカ戦の時は過酷な練習を乗り越えてきて「これをしなかったから負けた」というようなものがなくなっていたので、「あとはやってきたことを出すだけ」という気持ちになれたのだと思います。
大山 やり切ってきたからこその心境ですよね。とは言っても実際にW杯ともなると相手はめちゃくちゃデカいですよね。恐怖っていうものはないんですか?
大野 そうですね(笑) 自分も192㎝で日本人では大きなほうですが、同じポジションで見てみると相手は204~205㎝が普通で、自分が出ていない代表の試合を観ていると「よくあんな大男に突っ込んでいけるな」なんて思います。ただ、いざ自分がグラウンドに立ったときは恐怖というのはないですね。逆に、自分がその大男にひるんで、止められなかったときにチームにかける迷惑のほうが怖いかなと思います。
大山 まさにフォアザチームですね。
大野 チームワークというのは、「自分が与えられた仕事、自分がやるべきことを100%やりきること」だと思っています。
自分の仕事を100%やり切ることで、チームメイトが自分の仕事に100%集中できるわけで、自分がミスしてしまうと、チームメイトはそれをカバーするために自分の仕事に100%集中できないですよね。
だからこそ、自分の仕事、やるべきことを100%やりきることがチームワークであって、それを高いレベルでやりきれるチームがいいチームなんだと思っています。
大山 今のコロナの状況を乗り切るためにもその精神は大事かもしれないですね。
大野 そうですね。自粛にしても何にしても、一番は周りに迷惑をかけないようにするのが大事なことかと思っています。
自分もラグビーとか、野球とかチームスポーツをやってきて、一人の行動がチームにダメージを与えるということをたくさん経験してきたので、そうならないようにしたいなというのが自分の根底にはあるのかなと思います。言ってみれば、「人のことをおもんぱかり、人のために我慢する」というのが今の時期は大事なことなのかもしれません。
大山 大野さんは昨年トップリーグが中止の中で引退されましたが、次の夢とかやりたいことといったものはどうなのでしょう?
大野 やっぱり自分に求められていること、やるべきことをやりきった先に何か(未来)があるのかなと思っていますので、今までと一緒で、今やるべきことに集中して、やり続けていきたいですね。
大山 一つ一つを一生懸命にやることで未来が開ける。そのことを自分の人生で体現している大野さんのメッセージ、みなさんにぜひ届いてほしいですね。大野さんの言葉は深くて強いです。今日はアスリートの言葉の力を本当に感じました。最後に、これを読んでくれている皆さんに一言メッセージをお願いします。
大野 今は本当に困難な状況だと思います。でも、それは「自分だけではありません」。
人は、自分のために我慢するとどこかで切れてしまいますが、「人をおもんぱかる」気持ちを大切にし、自分じゃない周りの人、身近な人のために我慢するということを強い気持ちをもって続けて欲しいかなと思います。
そうすれば、この状況もきっと明ける日が来るので、それを信じて一緒に頑張っていきましょう。
大山 ありがとうございます!
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
大山峻護(おおやま・しゅんご)
5歳で柔道を始め、全日本学生体重別選手権準優勝、世界学生選手権出場、全日本実業団個人選手権優勝という実績を持つ。2001年、プロの総合格闘家としてデビュー。同年、PRIDEに、2004年にはK-1・HERO‘Sにも参戦。2012年ロードFC初代ミドル級王座獲得。現在は、企業や学校を訪問し、トレーニング指導や講演活動を行なっている。著書に「科学的に証明された心が強くなる ストレッチ」(アスコム)。ビジネスマンのメンタルタフネスを高めていくための本「ビジネスエリートがやっているファイトネス~体と心を一気に整える方法~」(あさ出版)を出版。
大山峻護さんInstagram
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オンライン家庭教師 with アスリート
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ファイトネス
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「科学的に証明された 心が強くなる ストレッチ」
「ビジネスエリートがやっているファイトネス~体と心を一気に整える方法~」
大野均(おおの・ひとし)
日本代表キャップを「98」で歴代最多キャップの所持者。酪農業の家庭で労働しながら育った屈強な肉体で動き回り、熱く、激しくプレーする。日本屈指のLOながら、その経歴は異彩を放つ。新聞配達をしながら通った高校までは野球に熱中。日本大学工学部の機械工学科に入学後、ラグビー部の先輩に勧誘されて練習を見学。楽しそうな雰囲気に触れ、「あの仲間に入りたい」と入部を決めた。ラグビーを続ける一方、大学の研究室では「石炭液化油のディーゼルエンジンへの適用に関する研究」に明け暮れた。国体を目指す福島選抜に入ったことから縁がつながり、東芝の練習に参加。肩を亜脱臼するも最後まで練習を続け、当時の薫田真広監督の目に留まって本格的に日本代表への道が開けた。2007年のラグビーワールドカップのウェールズ代表戦では相手からボールを奪って突進し、大会のベストトライにも選ばれた遠藤幸佑のトライの起点となった。2020年5月に現役を引退。現在は東芝ブレイブルーパスの普及担当として活動する。著書に『ラグビーに生きる』(ベースボール・マガジン社刊※書籍のamazonリンク入れる)がある。
東芝ブレイブルーパス公式HP
https://www.toshiba.co.jp/sports/rugby/