【スポーツメンタル】ゴールデンサークル理論とアスリートの応用法を紹介
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]
皆さんは、「最近モチベーションが続かない」や「チーム全体の士気が上がらない」等の悩みはありませんか。個人、団体に関わらず多くのアスリートが抱える悩みですが、そんなメンタル的な悩みの解決の糸口がゴールデンサークル理論によって見つけられるかもしれません。今回は、脳科学的に見たゴールデンサークル理論とアスリートにとって有効な応用方法を解説していきます。
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ゴールデンサークル理論とは
ゴールデンサークル理論とは、TEDで4000万回以上再生され、企業コンサルティング等を行う、サイモン・シネック氏によって提唱されたフレームワークで、よくマーケティングや企業ブランディングに使われます。そのフレームワークは単純で、以下の通りです。
・WHY(なぜ)→ HOW(どのようにして)→ WHAT(なにを)
もっと詳しくこの思考プロセスを見てみると、以下のようになります。
・WHY(なぜ)→ プライドや忠誠心(ロイヤルティー)
・HOW(どのように)→ どのように行うかなど、手段や手法。
・WHAT(なに)→ 何を結果として得られるのかなど、利益や数値。
このフレームワークで「WHYから始めよ」とサイモン氏は、提唱しています。即ち、「なぜ」を先に考え、次に「どのように」、「何を」という順に物事を考えるとマーケティングでも、成功に繋がりやすいようです。
他にも、人間が影響を受け、行動に移すのは、確かなる “WHY” 「なぜやるのか」が確立されている場合が多いため、組織の士気を高める場合も、企業のマーケティングにおいても「WHYから始める」。これが、ゴールデンサークル理論のフレームワークです。
脳科学的にみるゴールデンサークル理論
ゴールデンサークル理論は脳科学的に見ても、人を動かす要因となります。
私たちが「WHAT」の質問を考えるときは、脳の大脳新皮質(neocortex)というエリアを使って考えます。ここは、人類の歴史的に見ても、まだ進化的に新しい部分で、合理的な分析などを得意とする分野です。
対して「WHY」を考える時、つまり忠誠心やプライドなどの感情は、大脳辺縁系(limbic brain)で処理されます。ここは、人類の歴史上古くから存在している脳の分野であり、情動、本能行動などを司っています。
ゴールデンサークル理論は、「WHY」から考え始める事が提唱されていますが、大脳辺縁系は人類の進化論からみても古くから存在しているエリアのため、人間の行動や意思決定に影響を与える事が大脳新皮質よりも大きいです。
ロチェスター大学のメタ分析
実際、アメリカ・ロチェスター大学らが行ったメタ分析によると、WHAT(何を得られるか)などの考えによって行動する、外発的動機付けを設定する場合、成功への内発的モチベーションには減少が見られています。「WHAT」から始めると長期的なやる気も減少してしまうようです。
これは、多くの領域(学問、スポーツ、健康など)で確認されているようで、何を報酬として得る事ができるか(WHAT)に最初に意識を向けると、根気強く物事を遂行するために必要な内発的な動機が薄れてしまいます。人間が行動に移すには、核となる大脳辺縁系(WHY)に訴求するのが脳科学的にも最適でしょう。