ジェネレーションギャップに悩む管理職へ…「部下のやる気を引き出す方法」
臨床心理士の深瀬と申します。企業研修の講師、職場環境改善に関する提案などを中心に活動しています。今回は「部下のやる気を引き出す方法」についてお話します。
入社2、3年目で仕事へのモチベーションが低い部下がいるという状況で考えてみましょう。20代の方たちは浅い人間関係を好み、仕事以外での職場の人との付き合いを避ける傾向があります。50、60代の管理職からは、「反応が薄い」、「何を考えているかわからない」、「指示されたことしかしない」という声も聞かれます。
このような若い部下と良好な関係を築き、部下のやる気を引き出すには相手の価値観に添った接し方をするのが効果的です。相手の価値観に添うことで、相手はこちらに向き合いやすくなります。人は「自分に向き合ってくれている」と感じると親近感を覚え、その人の話に耳を傾けるようになります。
挨拶やこまめに仕事の進捗状況を尋ねることから始めて部下と接する機会を増やし、部下自身の言葉で思っていることを語ってもらうと、価値観をつかみやすくなります。例えば「なぜこの仕事を選んだのか」、「今の仕事に対する思い」を語ってもらうなどです。営業や取引先で顧客の価値観を把握しそれに合わせた接し方をするのと同じように、部下の価値観に添って接すれば、部下も嬉しいでしょうし、上司に対する信頼感も増すでしょう。
また、20代、30代の方たちは子供のころからインターネットで検索すればすぐに答えが出る環境で育っています。「自分で考える」という経験が乏しいため、「自分で考えて動きなさい」と言われても、何を言われているのかわからなというのが正直な気持ちではないでしょうか。
上司の側からするともどかしく手間がかかると思いますが、初めのうちは指示や評価を具体的に伝える必要があるかもしれません。企画書であれば「この部分は読みやすくてよくできている」、「ここは箇条書きに」と具体的に。それと同時に、部下には「自分で考える」ことを学んでもらう必要もありますね。お互いにきちんと対話する機会を重ねて、互いの考えを理解しようとする姿勢が大事だと思います。
■編集部からのお知らせ
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※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
深瀬 砂織(ふかせ・さおり)
東京都出身。臨床心理士でシニア産業カウンセラー、2級キャリア・コンサルティング技能士、キャリアコンサルタントの資格を持つ。企業の研修講師、職場環境の改善提案、経営者、人事労務担当者へのアドバイス、大学、自治体での講演など全国各地で精力的に活動している。