【多様な働き方を研究するコラム】長時間労働問題の深層
■問われる経営者の意識改革
おもてなしの基準値が高い日本は、「サービス」を付加価値として価格に転嫁しにくい国です。チップというおもてなし対価システムもありません。リーマンショック以降デフレ構造が定着してしまい、価格を上げづらい状況のままです。結果、人件費が抑制され、人材が集まりにくく、労働環境が劣化するという悪循環。その構造に対しての「解」は、残念ながら簡単には見つかりません。
元来、魅力的な人物であることが多い飲食店の経営者は、そのカリスマ性で店長やアルバイトに無理を言うマネジメントを成立させてきました。自身も創業期には寝る時間を惜しんで店舗運営に粉骨砕身してきたことでしょう。しかしながら、前述の「長時間DNA上司」と同じような旧態依然とした価値観では、もはや、職場は持たないくらいの危険水域に達しています。
店長が毎月200時間近くも残業している現状を放置しておけば、働き手の離反を招き、結果として経営を圧迫するというさらなる悪循環が待っているのは火を見るより明らか。もう待ったなしです。
[記事提供:ツナグ働き方研究所(https://tsuna-ken.com/)]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
平賀充記(ひらが・あつのり)
ツナグ働き方研究所 所長
1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を歴任。 2014年株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。2019年よりツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー就任。著書に『非正規って言うな!』『サービス業の正しい働き方改革・アルバイトが辞めない職場の作り方』(クロスメディアマーケティング)、『パート・アルバイトの応募が殺到!神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)。