元F1王者ジェンソン・バトンも参戦の電動SUV・オフロード選手権「エクストリームE」の特徴と課題とは?
今季からスタートした電動SUVによるオフロード選手権「エクストリームE」の開幕戦がこのほど、サウジアラビアで開催され、元F1王者、ニコ・ロズベルグ氏が設立した「ロズベルグXレーシング」(ヨハン・クリストファーソン/モリー・テーラー組)が最初のウイナーに輝いた。
電動フォーミュラカーで争い、今季からF1と同じ国際自動車連盟の世界選手権となった「フォーミュラE」の姉妹シリーズで、電気自動車の普及が世界的に進む中で、モータースポーツの将来を占う試金石の大会として注目を集めた。
3台混走で争われたエクスリームE開幕戦の決勝(エクストリームE提供)
レースフォーマットも競争系スポーツのいいとこ取りをしているほか、ジェンダーの観点も先取りしている。車両は最大出力550馬力を発生するワンメイク専用車両「オデッセイ21)」を使い、男女のペアが2周のレースを1周ずつを担当。1周を終えるとドライバー交代するルールで、複数ドライバーで戦う仏ルマン24時間レースや日本のスーパーGTにも通じるものがある。
年間5戦のオフロード選手権で、デザート(砂漠、サウジアラビア)、オーシャン(海岸、セネガル)、アークティック(北極圏、グリーンランド)、アマゾン(熱帯雨林地域、ブラジル)、グラシエ(氷河、アルゼンチン)の5つの異なる地形や気象条件を舞台に争われる。
出場したのは9チーム9台。ロズベルグ氏のほか、F1現役王者のルイス・ハミルトン(英国)が世界ラリー選手権シリーズ9連覇のセバスチャン・ローブ(フランス)を起用してオーナーチームを送り込んだ。元F1王者のジェンソン・バトン(英国)、ダカールラリーで4度王者となったカルロス・サインツSr(スペイン)はチームオーナー兼ドライバーとして参戦した。
開幕戦はサウジアラビア開催となったダカールラリーでも使われたウラーの砂漠で開催され、1周は約8・8キロ。砂漠の周りは岩山で囲まれ、周回コースは平たんな場所もあれば、急勾配のダウンヒルのセクションもある。クロスカントリーラリーのスプリントレース版で、決勝、準決勝などは3台による混走。いくつもの旗門を通過することから、冬季競技のスノーボードクロスにも形態が似ている。