ルイス・ハミルトンがF1史上初の通算100勝を達成!この実績が「史上最高」に値するものなのか議論されている点とは
ゴールの瞬間には100勝を示すボードも出される(ダイムラー提供)
セナ、プロストが活躍した1980~90年代は年間16戦制で、シューマッハーの全盛期も16、17戦が中心。圧倒的にレースの機会が少なかった。ちなみにF1草創期の1950年代は年間8、9戦で争われていた。だから、ハミルトンはシーズン中のレース数が多いのだから勝ち星も多くて当然だろうという色眼鏡で見られてしまうきらいがあるのだ。
実際に歴代チャンピオン別の勝率をみると、ハミルトンは281戦中100勝で「.356」。好成績を収めているものの、歴代では3位に相当する。最高勝率は1950年代のF1草創期に活躍し、4連覇を含む5度のタイトルを獲得したファン・マヌエル・ファンジオ(アルゼンチン)で「.471」。歴代2位はファンジオと同時代に活躍し、52、53年と連覇したアルベルト・アスカリ(イタリア)の「.406」だ。
ちなみに4位は1960年代のF1シーンを彩ったタイトル2度のジム・クラーク(英国)で「.342」。5位はシューマッハーの「.296」。参考までに、ハミルトンと今季のタイトルを争うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(オランダ)を調べると134戦中17戦で「.127」。やはり負けが込んでいる。
英紙インディペンデント(電子版)もハミルトンの通算100勝に合わせ、「ハミルトンはシューマッハーやファンジオとどれだけ比較できるか」と題した記事を掲載した。
シューマッハーについては「脂が乗っていた時期はデーモン・ヒル、ミカ・ハッキネン、ジャック・ビルヌーブと激しいタイトルバトルをしていた」としたほか、ファンジオを「時代がまったく異なる。実働7シーズンで勝利数、ポール獲得数は少ないが、目立たないながらも勝率は秀でている」とも紹介。今回の100勝目到達を祝しながらも先人との比較が難しい点を指摘した。
レース数が多くなったという点では年間試合数が増えて達成しやすくなったプロ野球の通算2000安打に似ているところがある。それでもハミルトンがF1史に残る金字塔を打ち立てたのは紛れもない事実。素直に称えたい。
[文/中日スポーツ・鶴田真也]
トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)
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