「誰も全く打てないじゃん」新人快投の裏で際立った9球 阪神の高卒左腕の“覚醒”を感じさせる「1.01」の凄み

圧倒的な支配力を発揮している今季の及川。その仕事人ぶりは何よりも数字が物語る。(C)産経新聞社
クレバーさが冴える9球だった。
4月20日に本拠地・甲子園で行われた広島戦で、阪神の及川雅貴は、6-0で迎えた6回から登板。得点差が開いたシチュエーションながら、危なげなく三者凡退に切って取り、チームの連敗ストップに貢献した。
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プロ初先発となったドラフト1位ルーキーの伊原陵人が、5回無失点、5奪三振の熱投を見せた直後のマウンドで、高卒6年目の左腕は淡々と仕事を全うする。先頭の矢野雅哉を直球で二ゴロに切って取ると、続く好打者・小園海斗も内角高めの直球で遊飛に打ち取る。そして、迎えた3番の末包昇大にはフルカウントまで粘られたが、最後は外角低めに投じた148キロの真っすぐで見逃し三振に仕留めた。
わずか9球――。上位から始まった広島打線に付け入る隙を一切与えなかった及川の圧巻の投球内容は、ゲーム展開を考えれば、試合の趨勢を決定づけるものだったとも言える。
今季の及川は際立った存在感を放っている。開幕から中継ぎでポジションを勝ち得た24歳は、ここまで9登板で防御率は依然として0.00。さらにWHIP0.33、被打率.067、奪三振率11.00と軒並みハイアベレージを記録。投手陣が生命線となる藤川阪神にあって、その価値は貴重だ。
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