習慣的な運動はシナプス可塑性を活性化する?運動学習との関係
シナプス可塑性とは
シナプス可塑性とは、シナプスの情報伝達の効率を継続して変化することができる性質のことです。記憶のメカニズムに大きく関わることから、発達障害や精神疾患領域における応用を目的とした研究も盛んに進められています。
ここではそんなシナプス可塑性の役割や重要性について解説します。
シナプス可塑性は「記憶」のメカニズムに大きく関わる
シナプス可塑性は「記憶」のメカニズムと関連している可能性が示唆されています。
神経細胞は受け取った情報を流す役割を持ちますが、シナプスの大きさを変化させることで伝達効率を変化させています。この伝達効率の変化によって情報に強弱をつけているのです。
長期的に覚えておきたい情報は大きなシナプスを使い記憶し、逆に忘れたい情報は小さなシナプスを使うことで忘却します。この仕組みは「計算力」や「語彙力」などの勉強だけでなく、運動学習にも用いられています。
単一の競技だけでなく複数の競技にチャレンジすることで、長期的に覚えておきたい情報を蓄積していくことができるようになります。こうした経験を積むことが、新たに取り組む競技や運動でも臨機応変に対応することができる「運動神経の良さ」に影響すると考えられています。
シナプス可塑性と運動習慣の関係性
運動を習慣的に行うことでシナプス可塑性を活性化することが可能であるとする報告も存在します。
Physical Activity, Nutrition, Cognition, Neurophysiology, and Short-Time Synaptic Plasticity in Healthy Older Adults: A Cross-Sectional Stud(chättin et al.2018)によると日常的にガーデニングなどの運動を行う健康な高齢者にはシナプス可塑性を生成する可能性が示唆されたそうです。
また、こうした運動習慣のある一部の被験者には短期間でのシナプス可塑性の生成も確認されました。
運動とシナプス可塑性の生成における具体的な関連性やメカニズムには未解明な部分も存在しますが、今後の研究ではこれらの機序の解明も期待されます。
シナプス可塑性を活性化するためには
シナプス可塑性は運動機能の向上に大きな役割を果たす可能性を秘めています。シナプス可塑性を活性化する確実な方法は明らかになっていませんが、バランスの取れた食生活や十分な睡眠など生活習慣が影響するとも言われています。
こうした生活習慣の見直しはシナプス可塑性だけでなく、さまざまなメリットを生むことからこの機会に今一度見直してみることも有効かもしれません。
周囲とは異なる視点を持ち、情報感度を高めることがライバルとの差を広げることに繋がる場合もあります。先進的な発見や研究に常に目を向けることが、競技における飛躍的な成績向上に繋がることもあるのではないでしょうか。
引用文献 Physical Activity, Nutrition, Cognition, Neurophysiology, and Short-Time Synaptic Plasticity in Healthy Older Adults: A Cross-Sectional Stud(chättin et al.2018)
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]
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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人
1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。