中国のブロックチェーンとその活用事例
なお、中国の法定通貨の人民元のデジタル化もブロックチェーン技術によって実現見込みであり、中国人民銀行は、その実現に向けて動いており、2019年10月24日には、習近平が「ブロックチェーン技術推進に取り組むべき」と発言している。
この翌日に、中国資金の流動化の期待感からか、BTC価格も前日比15%程度上昇したとされている。
既に一部の地域で、トライアルも行われているが、オープンになっている事例としては、上海交通大学の医学院付属同仁病院で、携帯電話が介在しない前提での、デジタル人民元が搭載可能なカードである「ハードウォレット」のトライアルが開始。
小さい事例であるが、職員食堂で、このスマートカードを使ってデジタル人民元で代金を支払うことが可能。
このスマートカードは、カード上の窓枠に、支払い金額、残高、支払い回数が表示される。
この病院では、この次の段階として、受診者への診療費、健康診断や駐車場の料金などの決済シーンで、デジタル人民元を試験的に導入する予定であり、その目的は、高齢者や収入の格差による「デジタル格差」を解消することも含まれているとのこと。
習近平は、2019年の10月に開催されたブロックチェーンに関する研究会にて、ブロックチェーンを中国のコア技術のうちの一つとして推進する意向を示し、それに伴う投資を加速すると示唆した。
次世代の通信企画である5Gに続いて、ブロックチェーンの技術向上についても中国主導で進めることにより、技術の標準化を握り、中国の国際的な発言力やルール制定力を高めたい意図も見え隠れする。
前回と今回を簡単に総括すると、以下の二つに集約されるだろう。
1.中国本土での仮想通貨取引については、政府のコントロール下にて再開される見込み。
2.但し、ブロックチェーン技術そのものは肯定し、積極的に技術向上を奨励している。
なお、仮想通貨とブロックチェーンについては、マイニングというものと切り離せないが、マイニングの環境とその事業や収益性についは、やはり中国本土は複雑な事情である。
これについては、次回か、また機会を見計らって述べてみよう。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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山本 岳志(やまもと・たけし)
SRBTechコンサルティング株式会社 取締役副社長 パートナー
一般社団法人亜洲一帯一路国際開発協会 総監
中国ビジネスに2001年から携わり、進出する側の経験も、今ではそれを支援する側の立場としても見識を積む。
新卒としてバンダイグループ企業(株式会社バンプレスト)にて、ゲーム開発の専門職として経験を積み、その後入社したモバイルコンテンツ企業(株式会社インデックス)では、ディレクターから部門長、制作子会社の代表取締役と中国子会社の董事副総理も兼務し、日中でのマネージメントを経験。
その経験を活かしてウェブマーケティング企業(株式会社アイ・エム・ジェイ)へ移り、経営企画職にて中国企業のM&Aに携わり、現在は中国に進出する企業の総合実務支援を行う現職にて、取締役副社長パートナーとして、業界問わずコンサルティングに従事。