【スポーツメンタル】”信頼”を築くことでメンタル安定、女性アスリートの人間関係
男性とは真逆の”女性アスリートの特性”
スポーツ選手がパフォーマンスを発揮する上で”何が支えになっているのか”とても重要なことです。「自分をサポートしてくれる人がいて、その存在が自分自身の成功に重要である」と応える人が多いことがわかりました。選手を支える人には、コーチ、チームメイト、両親、配偶者(パートナー)、理学療法士、家族などがいます。
そのなかでもスポーツ選手のパフォーマンスに直接的な影響を与えるため、監督やコーチとの人間関係はより重要なものです。指導者が男性と女性アスリートの特性の違いなどを理解しておけば円滑な人間関係を築くことができます。
女性アスリートの特性は、まず”集団行動を好む”ことです。”充実感を大切にする”こと”結果までの過程を大切にする”という3つの特徴が挙げられます。女子アスリートがこれら3つを大事にする傾向が強いのは、平等や公平なことだと言われています。
そのため指導する立場に立つ時には、チーム人数が多ければ少し大変かもしれませんが、選手に対して出来るかぎり平等に声を掛けるように意識したいのです。最終的に結果までの過程を重要視する傾向が女性アスリートは強いのです。
対して男性アスリートの特性は、まず単体行動を好むこと。勝敗を大事にし、結果を重要視する傾向が強いと言われています。自分を大事にするため、指導する立場に立つ時には、選手個人の実力をあげることを意識することが望ましいと考えられます。
このように男性と女性アスリートは、全く真逆の傾向が強いことがわかりました。もちろん性格など多少のズレはあるもののお互いの特性を考慮した指導を心掛けることが好ましいのです。
心理を考慮した”女性アスリートの指導法”
女性アスリートの特性を活かしたコーチング方法としては、まず”指導者の意図を出来るかぎり全て話すこと”です。スポーツ選手に関わらず、男性であれば「言わなくてもわかるだろう」と感じる傾向が強いです。
これに対して相手が考えていることや、思っていることを口にしてほしいのが女性の心理です。もちろん、全て話すことは難しいですが、出来るかぎり考えを話すことで指導者の意図を理解して練習に打ち込みやすくなります。
次に”話をしっかり聞くこと”です。自分の話を誰かに聞いてほしいと言うのが女性の心理で、どんな選手でも少なからず不安や悩みを抱えています。見逃しがちになりそうなことでもしっかり聞くことでスッキリとした気持ちで日々のトレーニングをこなしやすくなります。
そして良い演技ができた時には、”パフォーマンスをしっかりと褒めること”です。もしチームプレイなら個人的なパフォーマンスだけではなくチームとして誉めることが重要です。
例えば「君のプレイのおかげでチームが勢いづいたよ」と言われることでより一層頑張れるのが女性の心理です。
また女性アスリートへのコーチングの注意点としては、まず”一人の選手だけ接しないこと”です。誰か一人が秀でてしまうことは仕方のないことですが、実力のある選手だけに接しないように心掛ける必要があります。一人の選手だけに接してしまうと他の選手は劣等感を感じ、練習に身が入らなってしまうからです。
次に”全員の前で叱らないこと”です。ミスなどはスポーツにはつきものですが、注意する時は全員の前で叱らないようにしましょう。その選手のモチベーションが一気に下がり練習が身に付かなくなるだけではなく、他の選手の心理も暗くなってしまいます。これは女性に限らず男性にもいえます。
女性アスリートのミスを注意する時は”他の選手にも見えるけど聞こえづらい場所”を上手に見つけて話すように配慮しましょう。このようにすることでパワハラ対策にもなるのです。
今回は、女性アスリートの人間関係についてお話しました。アイコンタクトなどコミュニケーションを取ることで”信頼”を築きあげることができます。信頼関係があれば、人間関係に悩むストレスを軽減できるためメンタルも安定します。
また、女性アスリートの特性を理解することでより効果的な指導方法を実践することができます。そこから選手個人の性格や傾向を見極め、練習や指導方法を調整していくことが重要です。
人間関係が円滑になることでメンタルが安定すれば、パフォーマンス向上の近道となります。
[文:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
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一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会
代表理事 鈴木颯人
1983年、イギリス生まれの東京育ち。7歳から野球を始め、高校は強豪校にスポーツ推薦で入学するも、結果を出せず挫折。大学卒業後の社会人生活では、多忙から心と体のバランスを崩し、休職を経験。
こうした生い立ちをもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッド、スポーツメンタルコーチングを提唱。
プロアマ・有名無名を問わず、多くの競技のスポーツ選手のパフォーマンスを劇的にアップさせている。世界チャンピオン9名、全日本チャンピオン13名、ドラフト指名4名など実績多数。
アスリート以外にも、スポーツをがんばる子どもを持つ親御さんや指導者、先生を対象にした『1人で頑張る方を支えるオンラインコミュニティ・Space』を主催、運営。
『弱いメンタルに劇的に効くアスリートの言葉』『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』など著書8冊累計10万部。