「グレイシー一族に恨まれ続けた」元PRIDE戦士のコロナ禍で前進するためのポジティブ対談 『明るい未来をバズらせろ!』

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人生のハンドルを握れ

山崎 振り子の原理で言えば、振り子の一番先はプラスとマイナスで大きく振れますが、始点に行けば行くほどプラスとマイナスの差がないですよね。それが「差とり(悟り)だ」なんて言葉遊びができるわけですけど、このようにより達観していくとプラスもマイナスもないんだという世界に入っていくことができます。

しかし、振り子の先にいる人たちはいつまでも右に左に大きく振れている。ここにいる人たちの何が思考をプラスにさせて、何がマイナスにさせるかというと、それは彼らが「起きていることが人生だ」と思ってしまっていることなのだと思うんです。
ただ、それだと僕たちに人生の主導権はない。でも、目の前で「起きていること」に対して思考を深めていけば、「起きていること」にどんな意味あいを与え、どんな行動をとるかが「人生」だと変わっていきます。

大山 なるほど。自分で人生のハンドルを握っていくということですよね。

山崎 また「起きていることが人生だ」と思っている人は、自分に起きていることと、人に起きていることを比べるので、批判的になったり、シニカルになったり、攻撃的になってみたり、いたずらに喜んだりしがちです。
これが起きていることに対してどう解釈と理解を与えて、どう動いていくべきかを考えていくと、今度は起きたことに対して人はどう理解して、どう動いていくのかということに興味が向くようになるんです。

例えば「こんなことが起きた。ひどいと思わない?」と人に共感を求めるよりも、「こんなことが起きたけど、大山君はどう判断してどう動くの?」と質問しに行くみたいな。
共感よりも対策を求めるというんでしょうか? すると非常に人としてクレバーになっていきますよね。

マイナスな出来事が起きて悲しさとか、腹立たしさとか、責任転嫁とか、魔女狩りをしている間は苦しいものなんです。だけどもう起きたんだと受け入れられると、まずそこがゼロベースになるので、少なくともそのような苦しさからは抜けられます。





「恐れは才能」。「ちゃんと恐れる」ことも大事

大山 とはいえなかなか現実を受け入れられないというか、マイナスな出来事に怯えてしまう人はどうすればいいんでしょう。

山崎 怯えたり恐れたりすることが悪いことではありません。「恐れ」は人間の「才能」なんです。これはどういうことかというと、何百万年もの間、命というリレーが途絶えていない理由は、人間が「恐れ」という「才能」を使ってきたからなんですね。
例えば「サーベルタイガーなんて怖くないよ、大山君行こうよー」などと誘ってくる人はサーベルタイガーに食われていたはずなんですよ(笑) つまり恐れの才能がある人達がこれまで脈々と命をつないできたわけです。

大山 「恐れは才能」。面白いですね。

山崎 日本人はこの能力が特に長けているというか、他の国の人たちより「恐れ分子」が多いですよね。「恐れ」が壊れている人がいないと言いますか(笑)

大山 僕の知り合いに登山家の小西浩文さんという8000m級の山14座のうち6座を無酸素で登っている方がいて、その人も同じようなことを言っていました。「あと少しで登頂できるかもしれない、でもこのチャレンジは生きるか死ぬか半分半分だな」という時に、果敢にもトライして成功した登山家は次の登山で同じピンチになった時に同じ選択をして死んでしまうと。つまり、「そこで引き返せる人」が生き残ってきたわけで、小西さんはその辺の見極めがすごかったのでしょうね。

山崎 その意味で言えば大山さんはファイターとして死に近くなるポジションをわざわざとってきたわけですよね。「恐れ」に対する克服法とかあるんですか?

大山 僕の場合は基本的にビビり屋で心が弱いんですけど、開き直れてしまうというところがあるんですよ。だからさっきのサーベルタイガーの話ではないですけど、それが過剰な勇気になって突っ込んでいってしまう。どんなに強い相手に対しても突っ込んでいってしまって、それでボコボコに負けてきたんですよね(笑)
だから現役時代の僕に必要だったのは、それこそ「ちゃんと恐れる」ことだったんじゃないかと、今の話から思いますね。そう考えると勇気がなんでもいいってわけではないですね。

山崎 そうですね。今の世の中、命と落としてしまうような危険って身の回りにそんなにはなくて、これって実は、先人の「恐れ」が「こんなにも安全な街や社会を作った」とも言えるんですよね。先人たちが恐れていなかったら、危険なままでOKな社会だったかもしれない(笑)

大山 そういう意味から言うと今の状況はコロナに対して「ちゃんと恐れる」ということも大事なキーワードになってきますね。

山崎 そうですね。ただ、そうした時に、僕たちがハマりやすいのが、「~~するべき」、「~~ねばらなない」という「べき教」的な考えにハマってしまうことなんです。社会というフォーマットに僕たちは「入っていかないといけない」、「やらないといけない」。その「やらないといけない」という背後にも実は「恐怖」があるんです。「やらないといけない。なぜなら大変なことになってしまうから」という恐怖です。
でも、「大変なことってどうなることなの?」と聞くと、「やめてください。そんなこと考えたくもない」となる、つまりはみんな怖いからその先を見ようとしないんですよ。

大山さんのようなファイターでいうと、「負けたらどうなるの?」と聞くと「そんな負けるだなんて言わないでください!」となる。
その先には周りから「お前は敗者だ」という烙印を押され、「お前は弱虫でダメなファイターだ」と言われ、ファイターという職をなくし、お金も失い、人も離れ、最後は一人老いぼれて孤独死していく……。
なんてことあるわけないですよね(笑) でも、これが実は大事で、「恐怖」って味わい尽くすと「怖くないじゃん」となるものなのです。
だらか僕は「やらないといけない」となった時に、その後ろの恐怖の正体を味わい尽くせと、コーチング研修などでよく教えるんです。それができなかった時にどんな恐怖があるのかということをしっかり味わわないと、いつまでたっても心に「やらなければいけない」という乳酸のようなものがいっぱいたまった状態のままで、動くことができなくなるんです。

大山 試合でも同じですね。僕はどちらかというと最善を想像することが得意だったのですが、大ピンチになってもこうやって、こうやって切り返してみたいな最悪を想定しておくことも大事なんですよね。ただ僕は現役時代それがあまりうまくできていなかった。いつも最善ばかり想像していて、それがダメだとなった時、想定外が起こった時、僕ってすごく弱かったんです。もし想定外(最悪)を想像できていれば、それも想定内になるので、もっと心も成績も安定していかもしれませんね。

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