トップアスリートに学ぶ「心のマネジメント術」~「自分のため」から「人のために」で得たこと~

タグ: , , , , 2021/11/24

 「心理カウンセラー×アスリート」の対談で「心のマネジメント」についてひもとく連載の第3回目。今回も臨床心理士・公認心理師としてこれまでも様々な悩みを抱える人をカウンセリングしてきた心理カウンセラーの塚越友子氏と埼玉パナソニックワイルドナイツに所属する藤田慶和選手でお届けする。今回は「自分のためから人のために」とマインドセットが変わったという藤田選手の分岐点、そして日々試合に挑む上での「準備の大切さ」について紹介する。

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自分だけのためにやっていたこれまでは、無意識のうちに妥協があった。今は人のために、プレーに責任を


塚越 前回はメンタルの整え方は人それぞれでいいというお話を聞かせていただきました。また藤田選手が「分岐点になった」というマインドセットの瞬間があれば、教えていただけますか?

藤田 プロ2年目くらいの時にそれまでは『なんのためにラグビーをやっているの?』と聞かれると『もちろん自分のためにやっています』という風に言っていました。自分のために頑張って自分のために努力していた。ただ、とある人にその話をした時に、『だから力が出ないんだ』と言われたんです。確かにプロ2年目の時はリオ五輪に落選した次の年でなかなか思うような結果を出せなかったり、自分の思うようにいかなくてすごく悩んでいたんです。その時にその人から『応援してくれている人が沢山いるんだから、人のために何かできるようにしなさい』という風に言われ、そこからプレー面だけでなく、人間的にもかなり成長できたと思っています。結果として、その話を聞いてすぐ、15人制日本代表に選ばれたりとか、世界選抜で活躍できたりということはありましたね。

塚越 その時ご自身の中で、具体的にはどのように行動が変わっていたと思いますか?

藤田 まず、僕のアスリートとしての目標として、子供たちに夢や目標を与えたいというのがあります。それまでは口にしていただけで、実際に何か行動していたかというと何もしていませんでした。ただその言葉があってから何か子供たちのために動きたいなと思い、チーム関係者の方が子供たちへの活動をしていたこともあり、近くの子供たちと触れ合ったり、運動教室のお手伝いを行いました。

塚越 実際に動かれて試合のパフォーマンスに結びついたと感じられたことはあったんでしょうか?

藤田 当時僕が触れ合っていた子供たちって、正直ラグビーのことをほとんど知らない子たちばかりだったんです。しかし、プロ選手の僕がそこへいくことで、まずラグビーを知ってもらえる。『このお兄ちゃんラグビーしているんだ』と興味を持って、練習試合とか見にきてくれるんですよ。そこから、今度は試合を見にいきたいと言ってくれて、僕がチケットを取り、子供たちの家族含めて招待をしました。その試合で、子供たちの声援があったおかげでパワーをもらえましたし、プレーもよくなっていって、そこから一段階上へ行けたなという感じはありました。それは一つ自分の中ではマインドリセットのきっかけだったのかなと思いますね。

塚越 以前は結果を出せずモヤモヤしていたところを『人のために』とマインドリセットしたことで吹っ切れたとのこと、ちなみにこのモヤモヤの正体とはどのようなものだったとお考えですか?

藤田 今までは自分だけのためにやっていたので、無意識のうちに妥協があったのかなと思います。ただ、子供たちが見ているから下手なプレーができないとか、僕が活躍すれば子供たちは、「あの人知ってるんだよ」って周りに言えるんだよなという気持ちにもなれました。なので、プレーに責任を持ったというか、意識の面で変わったのかなと思います。

塚越 なるほどマインドリセットには『責任』というのも一つキーワードになったんですね。





藤田 ラグビーも3年前に7人制に移行して東京五輪を目指したんですが、責任という部分では、今までは18歳の時から日本代表に選んでいただいていたものの、正直、上の人についていくだけといった本当に典型的な若手といった感じでした。グラウンドでパフォーマンスを出して、リーダー格の人が引っ張っていってくれるみたいな。ただここ3年で、初めて日本代表内で「中堅」という立場になって、ポジション柄、司令塔という形でチームをゲーム中にマネジメントしないといけないなどの役割も加わり、ゲーム外でも色々な人とコミュニケーションを取らないといけないという立場になりました。立場が変わったことですごくプレーに責任を持つようになったなと思いますね。

塚越 「自分1人のために頑張る」ことで成果を出してきたときと、その次の段階として、チームやファンを意識して「みんなのために頑張る」という二つの時期を経てプレーも変わっていったということですね。

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