故・星野仙一監督とF1・レッドブル、選手トレードに関する共通する考え方とは?
故・星野仙一さんのトレードポリシー
日本のプロ野球で名将として鳴らした故・星野仙一氏は、監督時代に大型トレードを仕掛けることで有名だった。ただし、やみくもにするのではない。「血の入れ替えは大事。トレードされた選手も相手チームに必要とされているのだから腐ってはいかん」とのポリシーの下で選手を送り出した。
レッドブルのトレードもそれに近いのではないか。独誌アウトビルトによると、レッドブル首脳陣の1人で選手契約を統括するヘルムート・マルコ相談役は、ガスリーを古巣のトロロッソに戻したことについて「彼はトロロッソのシートを与えられた。今後の戦いぶりを見た上で、誰が来季のフェルスタッペンの相棒になるかを決める」と話した。
F1の場合は車体、エンジン(パワーユニット)が各チームで異なるため選手の能力を比較するのが難しい。が、同じマシンを操るチーム内では走行データが記録されており、如実にその違いを把握することができる。ただし、車両の開発はエースドライバーの好みに委ねられることもあり、ドライビングのくせが正反対の場合、セカンドドライバーは苦戦しがちになる。
ガスリーはこのトレードで輝けるのか?
レッドブルの選手として最後のグランプリとなったハンガリーGPを走るガスリー(©Redbull Content Pool)
ガスリーは決して遅いドライバーではない。日本のスーパーフォーミュラに参戦した時に取材をしたが、そのコースが初走行なのに、あっさりとライン取りやブレーキングのタイミングをあっさりとマスターし、コースを熟知しているはずの日本人ドライバーを凌駕するドライビングを何度も披露した。
おそらくフェルスタッペンの天賦の才能が際立ちすぎて、ガスリーがくすんで見えてしまう。だからこそ、レッドブル首脳陣はガスリーをクビにせず、トロロッソでセカンドチャンスを与えたのではないか。
逆境をはね返して自ら名誉を挽回させる。これをショック療法を施したとみるのは、考えが甘すぎるか。
[文/東京中日スポーツ・鶴田真也]
トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)
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