「言葉が先行した」那須川天心が見せた“進化“と“甘さ” 神童に求めたいプロボクサーとしての成長

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キックボクシング界を席巻し、スターダムを駆け上がった那須川。ボクシングデビュー2戦目も彼は勝ったのだが……。(C)Getty Images

 格闘技に愛された“神童”は凄まじい成長を見せつけた。

 9月18日東京・有明アリーナで行われたスーパーバンタム級8回戦で、那須川天心(帝拳)はメキシコのバンタム級王者ルイス・グスマン(メキシコ)に3-0の判定勝ち。約5か月前の与那覇勇気(真正)を破ったボクシングデビュー戦に続く連勝を飾った。

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 期待の高さは異例とも言うべきマッチメイクからもひしひしと感じられた。人気や知名度よりも実績が重視されるボクシングにあって、世界2階級王者・中谷潤人のWBO世界スーパーフライ級の防衛戦を差し置いて、セミファイナルに抜擢されたのだ。しかも、通常6回戦までのB級試合のデビューながら特例で8回戦が認められた2戦目となった。

 戦前にKO勝利とテーマを掲げた天心は、周囲から寄せられる特大の期待には応えた。初回に軽やかなバックステップから鮮やかな左のカウンターを炸裂させて1度目のダウンを奪取すると、守勢に回ったグスマンを圧倒。3回に左ボディーアッパーをヒットさせて2度目のダウンをもぎ取り、最後まで相手を寄せ付けなかった。

 勝利の過程において「進化」は見せた。スピード、テクニックは5か月前よりも格段に増した。そして課題だったパワーも上がっていた。それは実力派グスマンを2度も倒した事実からも一目瞭然だ。

 しかし、デビュー戦後から掲げてきた「本当に殴る、ちゃんと殴りに行く」戦いはできなかった。それでも試合後のリングで「俺は那須川天心だ。世界チャンピオンになる。世界を変える。チェックしてくれ」と英語でマイクアピールした言葉には、試合内容とのが温度差を感じざるを得なかった。実際、『Amazon prime』で解説を務めた元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太も「うーん。少し言葉が先行した気がしますね」と見解を寄せたほどだ。

 プロボクサーとして世界を沸かせたいのであれば、ただ勝つだけでは足りない。ボクシング挑戦2戦目の25歳に対して高すぎる要求と言えるかもしれないが、キックボクシング42戦無敗という図抜けた格闘センスを持つ彼が「世界最強」を志すのならば、なおさらだ。

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