女性は知っておきたい!尿失禁手術について

タグ: , , 2023/12/22

それで手術後1~2週間は、排尿困難になるために、手術前に自己導尿指導が行われ、 患者さん達は、糸が緩んで尿が出るようになるまで、自己導尿をして待っていたんです。

そして尿漏れも排尿困難も無い状態が長く続くのが手術の成功でした。しかし排尿困難がなくなると、また尿失禁がはじまってしまう患者さんも多く、再発率は40%にも及んでいました。

それでやっぱり尿道の下に何かを入れて支えなければダメだということになり、歴史的に効果が認められいた尿道筋膜スリング手術が復活していた矢先に、日本に上陸したのが前述のTVT手術です。
今から20年弱前1990年代後半のことです。

このTVT手術では、それまでの「膀胱尿道移行部を吊り上げる」から「中部尿道の下に人工テープを、緊張を与えないで、だた置くという」という手術法の大きな転換がありました。

このテープやシートを緊張を与えずただ置いてくると、尿失禁や骨盤底臓器脱などの骨盤底障害はよく治るという考え方は、テンションフリー理論と呼ばれます。
これにより尿失禁手術後の排尿困難率は激減します。

この手術の開発根拠になったのが、1990年初出のウィルムステンとペトロスの共著インテグラル理論です。この理論では、尿道の中間付近に尿道をささえる恥骨尿道靭帯があることを明らかにして、この靭帯を支点にして骨盤底筋群の3つの成分(前上方向き、後向き、下向き)が瞬時に協調して収縮することによって膀胱底がわずかに下垂し、その結果尿道が曲がって閉鎖して尿もれを防ぐと考えました。





よって尿もれがある場合は、骨盤底筋群を鍛えて強化するか、恥骨尿道靭帯の強度を高めればよいという発想をしました。そして恥骨尿道靭帯の強度を高めるために、人工テープを靭帯の近くに移植したのです。この画期的な手術の成功率は90%で、手術後尿もれが改善した患者に関しては排尿困難は、ほとんどないのが特徴で、現在でもTVT手術は、広く行われています。

しかしこの画期的な手術の後でも、排尿困難になる患者はいます。

第1の原因と考えられるのは、膀胱収縮力の低さです。

尿失禁手術の術前には、何回か残尿(排尿直後に膀胱内に残っている尿の量)を測定します。通常尿もれの患者さんは、尿道抵抗が低いため、残尿は0mlのことがほとんどです。一般的には残尿は100mlくらいまでは、正常範囲と考えられ、排尿困難の自覚症状がなければ、無治療でいいのですが、尿失禁の手術前の場合は、残尿10ml程度でも、術後の排尿困難のリスクがあります。なぜなら尿失禁があるということは尿道抵抗が低い状態であることが多いのに、残尿があるということは、膀胱の収縮力が低下している可能性があるからです。

第2の原因としては、尿道の機能の悪さです。

前述のように骨盤底筋群が脆弱な場合は、骨盤底筋の強化と恥骨尿道靭帯の補強で尿失禁が改善します。しかし重症な腹圧性尿失禁の中には、尿道自体の機能が悪い場合があります。

この場合テープをすこしきつくして、尿道を引き上げて尿道抵抗を高めないと尿失禁が改善しない場合があるんです。

ですから重症な尿失禁ほど、手術をしても尿失禁がコントロールできなかったり、尿失禁の症状が改善したかわりに排尿困難の症状がでたりしてしまいます。

尿失禁の手術後に排尿困難を認める場合は、しばらくは投薬や自己導尿(写真のような道具を使用)で経過をみます。数ヶ月経過をみても自己導尿を中止できない場合は、移植したテープを切断することもあります。

素晴らしい歴史的な発明である尿失禁手術TVTですが、欠点もあります。

膣から移植したテープを腹壁まで貫通させるために、恥骨の裏の大きな血管を刺してしまい後腹膜血腫がおこったり、腹腔内と後腹膜の境界である腹膜を刺してしまい腸閉塞が起こってしまう合併症が起こることがあるのです。

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