【多様な働き方を研究するコラム】バイトテロ問題を、改めて考える
マネジメントの王道をいくしかない
先日、アルバイトの「卒業式」を行っている飲食チェーンを取材させていただきました。この春で卒業を迎え、職場を去っていく大学4年生のアルバイト店員に感謝の意を表するための催しです。
学生アルバイトが勤務する店舗の店長が、ひとりひとりに向けて書いた表彰状を読み上げ、社長自らひとりひとりと握手しながら記念品を贈る。なかでも圧巻だったのは、卒業生代表の答辞。
「前のバイト先では、カフェで応募したのにレストランに回され、未成年なのにワインのテイスティングもさせられました。13時間働くシフトに無理やり入れられたりもしました。バイトってこんなに辛いものなんだ、と思っていたけど、ここは違いました」という言葉にはじまり、仲間への感謝、企業理念への共感、店舗で一体となって頑張った取り組みについて、涙ながらもしっかりと語りました。
ここでは、バイトテロは起きないんだろうな…。彼女の言葉にそう感じました。
採用難の時代。人手不足の常態化が、職場の疲労感やモラル崩壊を助長しているのは間違いないでしょう。まさに彼女が働いていた前のバイト先がそうです。しかし彼女のスピーチにもあったように、そんなことはどこ吹く風という職場も存在します。
従業員を大切にし、働く意味や意義を語りかける。そんなマネジメントの王道を頑張ることこそが、いま最も求められているのではないか。そう確信させてくれた催しでした。
面接時にきちんと時間をかけて動機づけする・応募してくる動機に合わせて職場の魅力を語るなど、面接時から、働く「意味・意義」を問いかけることも、バイトテロ抑止につながるのではないでしょうか。
[記事提供:ツナグ働き方研究所(https://tsuna-ken.com/)]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
平賀充記(ひらが・あつのり)
ツナグ働き方研究所 所長
1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を歴任。 2014年株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。2019年よりツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー就任。著書に『非正規って言うな!』『サービス業の正しい働き方改革・アルバイトが辞めない職場の作り方』(クロスメディアマーケティング)、『パート・アルバイトの応募が殺到!神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)。