「自分の方がリーチがあるはず…」数回のマスで引き込まれた凄み 高校3冠の18歳に世界を見せた“怪物・井上尚弥”「気づいたら目の前にパンチ」

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数多の名手を打ち破ってきた井上。その拳は18歳の青年に大きな刺激を植え付けていた(C)Getty Images

大橋会長も認める特大のポテンシャル

 プロの世界に飛び込む18歳のティーンエージャーの目に、“怪物の拳”はとてつもないインパクトを植え付けた。

 3月30日に「高校3冠」の肩書をひっさげ、大橋ジムからプロ転向を決めた片岡叶夢は、今春にかつてないほどの特別な経験をしていた。それは同ジムの看板選手であり、自身が「憧れ」と語る世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥とのマスボクシングだった。

【動画】繰り出されるボディショット!井上尚弥の“音”に着目

 3年時にインターハイ、国体と2冠を達成した片岡のアマ戦績は54勝5敗。「夢を叶える」という意味合いの「ザ・ドリーム」の愛称を授けた大橋秀行会長が「一番はパンチ力。やっぱりプロはパンチ力が一番大事」と熱弁を振るい、指導を担当する鈴木康弘トレーナーが、「重いよりも効くパンチを持っている」と認める通りだ。

 秘めたるポテンシャルは特大。さらに171センチの長身サウスポーという特徴も稀有。ゆえに井上が「仮想・中谷潤人」としてマスボクシングの相手に指名したのは、ある種、必然だったのかもしれない。

 回数は「2、3回」。それでも片岡は井上と同じリングに立った短時間で、異次元の強さに引き込まれたという。マスボクシングは力を入れずにパンチを当てないスパーリングであるが、「本当に体験したことがない感覚」を覚えさせられていた。

「(マスボクシングだから)当てる感じではないんですけど、やっぱりスピードが反応できない。自分の方が身長もあって、リーチもあるはずなんですけど、気づいたら目の前にパンチがある。本当にスピード感が体験したことがないものでした」

 まるで大海を知った蛙。そんな片岡の言葉を聞き、思い出されたのが、元世界スーパーバンタム級2団体統一王者、スティーブン・フルトン(米国)の言葉だ。2023年7月にバンタム級からの転級初戦を迎えた井上と対峙した男は、8回TKO負けを喫した当時の記憶を、米ポッドキャスト番組『Cigar Talk』で、こう紡いだ。

「イノウエの『見えるパンチ』に関しては、受けても何とかなるレベルではあった。さほど距離を取らなくてもブロックで対応できたんだ。ただ、俺が倒されたパンチはハッキリ言って見えなかった。それがイノウエの強さなんだ」

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