大エースの東にも無理をさせず、余裕のある起用法を続けている今季のDeNA。その起用法のワケを首脳陣に訊いた(C)産経新聞社
コマ不足でも“余裕”のローテーション
今季のDeNAの先発投手陣は、決して盤石とは言えない。
目玉補強とした加入し、ローテーションの柱として期待されたジョン・デュプランティエやオースティン・コックスの両助っ人が相次いで戦列を離脱。単純に計算できる先発投手のコマ不足は、誰の目にも不安に映った。
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一般論としては、頼れるエースや活きのいい若手に中5日登板といった無理を求めたくなるところだろう。とくに昨季に最多勝のタイトルを手にした東克樹、正式にローテーションに入り、安定した投球を続けている石田裕太郎の2人にかかる期待は大きい。
しかし、首脳陣の考えは違う。一軍チーフ投手戦術・育成コーチを務める小杉陽太は、冷静かつ選手ファーストの見方をしていた。
「(東)克樹に関してはローテーション回り続けて4年目ですよね。で、過去にも当然トミー・ジョンの手術歴がある。(石田)裕太郎に関しても3年目で中6日でローテーション回った経験がないんですよね」
小杉コーチは彼らの未来を前借りするような真似はしないと断言する。絶対的エースであり、経験値も豊富な東に対しても、管理体制を徹底。点差が開いた余裕があるように見える展開でも球数制限を設け、限界まで投げ込ませないのも、すべては負傷離脱という最悪の事態を未然に防ぐための逆算だ。
「パフォーマンスがいいからといって、ずっと中6で回し続けた結果、パフォーマンス低下から怪我に繋がるってことも全然ある。(平良)拳太郎も、裕太郎も含め、本当にシーズン離脱することなく1年間稼働してもらいたいので、計画的にやっています」
あえて余力のある段階での降板や一定の登板間隔を設ける。すべては誰一人欠けることなく、熾烈な1年間を戦い抜くための環境設定だと、小杉コーチは力説する。
では、すでに生じている「空いた穴」をどう埋めるのか。
首脳陣が今シーズンに推し進めているのは、ファームとの緻密な連携による若手と新戦力の積極登用だ。コーディネーターを務める大原慎司コーチも「特に先発ピッチャーに関して1軍、2軍の境目はないですね」と語るように、小杉コーチをはじめとする1軍スタッフと、二軍投手陣を統括する入来祐作コーチらとの間で「常に2、3週間先を見据えたプラン」が綿密に練られている。
「僕らも2軍のローテーションが見えるので、そこはちゃんと見える化ができてて、コミュニケーションも取りやすいです。そこはしっかりと連携を取りながらやっています」
小杉コーチがそう語る風通しの良さは、運用をスムーズにさせる。
1軍で投げさせては登録を抹消し、ファームでコンディションを整えさせてから、また1軍のマウンドに戻す。あるいは、ファームで結果を出している深沢鳳介、篠木健太郎、島田舜也、武田陸玖らフレッシュな才能を、万全のタイミングで1軍へと送り出す。そうした1軍、2軍の壁を取っ払った起用法は言うほど簡単ではない。
当然ながら、付け焼き刃の策ではない。そこには明確な「育成の意図」が存在する。