DeNAの“戦略的先発投手育成論”とは? 助っ人離脱の「誤算」を未来の糧に 投手たちに無理をさせない独自起用法「全員が中6日で回ることはまずない」

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相川新監督にとって肝となる投手運用。その対策は驚くほど綿密に練られている(C)産経新聞社

すべては夏場、そして未来のために

 チームの現状を「投資をしている期間」と表現する小杉コーチは、正捕手であった山本祐大とのトレード移籍でソフトバンクから加入した尾形崇斗も含め、1軍での先発経験の浅い投手たちをどうローテーションに当てはめていくか。決断の支えとなるのは、確かなフィジカルデータによる裏付けと、将来に向けたビジョンだ。

「ここまでにローテで回ったのは、篠木だけです。彼には2年目で負荷耐性も付いてきているというフィジカルの数値があります。島田も深沢もその点が違います。なので、全員が中6日で回るってことはまずないです。それはもっと先、もしかしたら夏場以降なのかもしれないし、もしかしたら来年に持ち越しとなるのかもわからないです」

 選手の個性に合わせ、決して無理をさせないマネジメントが最優先。その上での理想形を、小杉コーチは思い描いている。

「1番いいのは、全員が中6で長いイニングを投げていくことです。将来的にそんな未来を作れていければいいと思います。今はそのための投資をしている期間でもありますね」

 1軍実績のある主戦級でも、発展途上の若手でも、判断する上で関係はない。過度な負荷がかかりそうなタイミングで、球速やホップ成分といった「投球のパフォーマンスデータ」のエラーが検知されれば、計画的に休ませる。

 無論、レギュラーシーズンの戦いを諦めたわけでも、守りに入ったわけでもない。牙を研ぎ、力を蓄え、正念場となる時を見据えている。

「やっぱりシーズン終盤の順位争いの中、アクセルを踏むような時期になれば、当然間隔を縮めるって可能性もあるわけで。そのためにまずいまはしっかり余力を残して、怪我なく、年間を通してパフォーマンスを出し続けるための環境設定をしています」

 長く、そして過酷なペナントレース。開幕すぐに生じた助っ人の離脱という逆境を、若手や新戦力・尾形たちの経験値へと変え、先発陣全体の底上げを図るベイスターズ。夏場にアクセルを全開にするタフな投手陣の姿に加え、数年後に結実するであろう『中6日で回り続ける』投手王国の確立。チームは今、確かな理想を実現させるため、同じベクトルを向いて突き進んでいる。

[取材・文/萩原孝弘]

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