岡田阪神の“秘蔵っ子”門別啓人とは何者か? 19歳の若武者が高卒2年目で先発ローテ争いに食い込める理由

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球界で高い評価を得ることになった要因とは?

 ふたたび門別の投球を見たのは3年夏の南北海道大会札幌支部予選の札幌新陽戦だった。

 相手先発の細野龍之介(当時2年)もドラフト候補に挙げられる好投手で、7回までは両チーム無得点という緊迫した試合となった。

 そのなかで門別は最後まで相手打線を寄せ付けることなく被安打4、14奪三振で見事完封勝利をマーク。この試合での最速も前年秋に見た時と同じ145キロだったが、試合終盤までコンスタントに140キロ台を叩き出し、課題と見ていたスタミナ面も着実にアップしていた。また、変化球もスライダーは相変わらずスピード不足に見えたものの、この時には130キロ台で鋭く変化するツーシームをマスターしており、このボールが威力を発揮した。

 そして、もうひとつ感心したのがこの試合で記録された4死球だ。この数字だけを見れば、コントロールが課題かと思われるかもしれないが、一方で与四球は0。決して制球に苦労していたわけではないのである。相手打者の内角をいかに厳しく攻めていたかをよく表しており、先述のツーシームも効果が増し、14個もの三振を奪うことに繋がったと言えた。この時から投球術は冴えていた。

 結局、最後の夏も南北海道大会の準決勝で敗れ、甲子園の土を踏むことはできなかった。しかし、2位という高い順位での阪神入りは、高校3年間での成長ぶりが評価された結果だった。

 高卒1年目から2軍で結果を残し、球界で高い評価を得ることになった要因として、何よりも大きいのは、高校時代からフィジカル面の強化が進んでいたということではないだろうか。門別は前述したように2年秋から182センチ、85キロ(現在の登録は183㎝、86㎏)と高校生としてはかなり立派な体躯をしており、とりわけ太もも周りの充実ぶりが目立っていた。

 高卒の選手は「まず身体作りから」と言われるが、門別の場合は、その壁を早々とクリアできたことで技術面の向上に集中的に取り組めたという部分は少なからずあったはずだ。また、内角を厳しく突くことができる姿勢や、カーブ、スライダーだけでなく逆方向のツーシームをマスターして投球の幅が広がっていたというのも大きかったと言えるだろう。

 阪神の投手陣は、実績のある西勇輝、青柳晃洋、伊藤将司に加え、昨年にブレイクした村上頌樹、大竹耕太郎、さらには才木浩人、西純矢などの若手などタレントが豊富。先発ローテーション入りとなれば、無名の高校から成り上がり、ブレイク間近の若武者でも簡単なことではない。

 ただ、そんなローテーション争いに門別が加わるようなことになれば、阪神にとって、チームの将来性を考えても極めて大きなプラスとなるのは間違いない。果たして、岡田監督の秘蔵っ子がどこまで躍進を遂げるのか。19歳の投球に注目だ。





[文:西尾典文]

【著者プロフィール】

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。

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