岡田阪神の“秘蔵っ子”門別啓人とは何者か? 19歳の若武者が高卒2年目で先発ローテ争いに食い込める理由

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高校時代から北海道では名の知れた存在だった門別。しかし、全国レベルで彼の知名度は決して高くはなかった。写真:西尾典文

 昨シーズンに38年ぶりとなる日本一を達成した阪神。戦力の充実ぶりを見る限り、今年もセ・リーグの優勝筆頭候補となりそうだが、そんなチームにあって小さくない話題を提供する若手がいる。高卒2年目の門別啓人だ。

 ルーキーイヤーの昨年は2軍で12試合に登板。2勝2敗2セーブ、防御率2.78と確かな成績を残すと、シーズン終盤には早々と1軍に昇格し、プロ初先発となった9月30日の広島戦では5回無失点の好投を披露。シーズン終了後の秋季キャンプでは、さらに成長した姿を見せ、岡田彰布監督からも絶賛の言葉が並んだ。

【動画】先発ローテ争いに食い込む快投 門別啓人の春季キャンプのピッチング





 その苗字の通り、北海道沙流郡門別町(現・門別町)の出身の門別は、アマチュア時代から確かなポテンシャルの持ち主であった。

 小学校6年生の時には毎年末に行われている『12球団ジュニアトーナメント』に日本ハムファイターズジュニアとして出場。東海大札幌に進学後は1年秋からエースとなり、2年夏には南北海道大会の準々決勝に進出。この頃から北海道の高校野球関係者の間で彼の名がよく聞かれるようになった。

 筆者が、その投球を初めて見たのは2年秋に出場した北海道大会準決勝、対クラーク記念国際戦だった。先発のマウンドに上がった門別は4回まで相手打線をヒット3本、無失点に抑え込む好投を見せたが、5回と6回に合計5安打を集中されて4点を奪われて降板。チームも1-5で敗れて負け投手となっている。

 ただそれでもピッチング自体は強い印象を残している。当時の取材ノートにも以下のようなメモが残っている。

「大型サウスポー(当時のプロフィールは182センチ、85キロ)だが、フォームにギクシャクしたところがなく、上手く上半身の力を抜いて柔らかく腕が振れ、リリースに力が集中している。走者がいなくても時折クイックで投げるなどフォームに変化をつけることができるのもセンスの良さを感じる。

 ストレートのアベレージは130キロ台中盤から後半だが、力を入れるとコンスタントに140キロ以上をマーク。特に右打者の内角に投げ込むクロスファイヤーの角度は素晴らしく、腰を引かせることも多い。(中略)110キロ台のカーブも落差があり、カウントをとるのに有効。スライダーは120キロ台前半で少し変化が早い。もう少し速くて小さい変化のボールほしい。身体が少し正面を向くのが早く見えるが、大きな欠点はなく、高校2年秋の時点では十分なレベル」

 ちなみに、このクラーク記念国際戦で門別がマークした最速は、筆者のスピードガンで145キロ。そのボールは明らかに力を入れた時のもので、完全に打者は差し込まれていた。ただ、メモにもあるように、1試合を通じて高い出力を維持するだけのスタミナはなく、中盤以降にスピードが落ちたところを狙い打たれる粗さがあった。

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