元仙台育英の“野球エリート”が見たどん底 DeNA西巻賢二が2度の戦力外から模索し続ける「生きる道」【コラム】

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「とにかく一軍の戦力として戦うこと」

 オープン戦では、初見のピッチャーであろうと臆せずスタートを切り、ここまで3盗塁で失敗は0。「塁上でしか感じられないようなものをしっかり察知できているかなと思いますね。自分で言うのもあれですけど、そこは年々上がってきてる感じはします」と選手にしかわからない“空間把握能力”もアップしていると実感しているようだ。

 しかも今年は足だけではなく、途中まで3割台の好打率を維持するなど、打撃でも結果を出している。それには「オフに市川のネクストベースというところで、今の自分の身体の使い方とかの動作解析を行いました。それもあって今のバッティングフォームにたどり着いたのがあります」と告白する。

 具体的には「ヘッドを入れずに、なんならもう置いといたとこから出すぐらいの感覚、落とす感覚。もうそれだけです」とシンプルな形に変更し、「今はしっくりきていますね。これからどうなっていくか全然わかんないですけど、しっかりそれを継続してやっていきたいなと思います」とさらなるレベルアップも目論んでいる。

 オフも早朝からトレーニングに励んだ。本人は「誰もいない時だと結構ウエイトルームとかも使いやすいんで。長くやっているわけではなく、ただその時間をずらしてるだけです」と笑うが、時間を有効に使い、より良い質を求める姿は、苦労人ならではの知恵も感じる。

 DeNAでも2年目。西巻は「昨年は1軍の戦力として1年間戦いたいというのを目標に掲げたんですけど、なかなか、難しかったです。今年はだからこそ、自分の役割を全うして、とにかく一軍の戦力として戦うことが1番、成し遂げたいことなので。本当に役割はどこでも、与えられたところでしっかり考えて、野球をやりたいですね」と目を光らせた。

 チームの“穴”を埋めるピースとして、プロ生活7年目の小兵は今日も淡々と出番を待つ。





[取材・文/萩原孝弘]

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