ラグビーワールドカップ2007年大会は「ONE TEAM」の礎!大野均&大西将太郎「同期の桜」が振り返る伝説のカナダ戦

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 現在WOWOWでは、過去のラグビーワールドカップ全9大会から厳選した歴史的な試合を「ラグビーワールドカップTM 感動と興奮の名勝負選!」と題してお送りしている。「「~日本代表 激闘の軌跡~」編では日本代表戦の名勝負を、「~全9大会 決勝の記憶~」編では全9大会の決勝を放送中だ。

写真:WOWOW





 7月12日(日)放送の2007年フランス大会「カナダvs日本」は、5月に現役引退を表明した日本代表最多キャッパー(98キャップ)の大野均さんと、この一戦を締めくくるコンバージョンキックで英雄となった大西将太郎さんによる豪華ダブル解説が実現した。

 今回はこの一戦で共闘し死力を尽くした「均(キン)ちゃん(大野均さん)」「しょっさん(大西将太郎さん)」と呼び合う「同期の桜」コンビに解説してあらためて感じたことをうかがうとともに、大野さんには現役を終えた今の心境や今後についてお話しいただいた。

──これまで2007年大会の「カナダvs日本」の映像を丸々見返したことはありますか?

大野 初めてです。しょっさんの最後のコンバージョンキックは何度も見てきましたが、見てみると「こんなプレーやシチュエーションがあったんだ」という発見がありました。

大西 自分のキックはこうして取り上げていただいてきたことで何度か見たことはあるのですが、そのプロセスや展開を見たのは均ちゃんと同じく初めてですね。

──その最後のコンバージョンキックはどのような心境でしたか?

大西 ボールを置いてからはあまり記憶がないのですが、覚悟を決めた瞬間に自分一人だけがグラウンドに立っているような感覚になり、音も静かになったんです。いわゆる「ゾーン」に入ったのはあの時が最初で最後でしたね。気付いたらみんなが駆け寄っていました。

大野 「しょっさん、頼む」と祈るような思いで見ていました。本当にうれしかったですし、同期の熊谷皇紀が号泣しているのを見て思わずもらい泣きしてしまいました。

──当時の日本代表はどんなチームでしたか?

大野 いいチームでしたね。見返してみても雰囲気の良さを感じました。チームのマスコット的存在だったプロップの西浦達吉さんがワールドカップの舞台に立つまですごく苦労しているのを見ていたので、一緒にグラウンドに立ててうれしかったことを覚えています。

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──キャプテンはナンバーエイトの箕内拓郎さんでした。

大西 僕にとっての日本代表のキャプテンと言えば箕内さんなんです。均ちゃんと同じく身体を張る選手で、後に菊ちゃん(菊谷崇さん)やリーチ(リーチ マイケル選手)といった素晴らしいリーダーが出てきたのもあのような先輩がいたからだと思います。バックスには大会直前のケガで出場できなかった大介さん(大畑大介さん)もいて、1つ上ですが同期のようなザワ(小野澤宏時さん)もいた。いろいろな人の思いが詰まった大会でした。

──大野さんはその後2011年、2015年大会にも出場されましたが、日本代表は2007年大会からどのように進化していったと考えていますか?

大野 この試合で引き分けた日本代表は勝ったように喜んでいましたが、次の2011年大会の同じカナダ代表との引き分けは負けたかのようでした。うれしかった引き分けが次は悔しくなった、というところが本当に小さいながらも成長だったのかもしれません。2015年大会で南アフリカ代表に勝てたのもそういった経験があったからこそだと思っています。

──日本代表が当時から受け継いでいるものがあるとすれば何でしょうか?

大西 外国人選手が「助っ人」のような存在ではなくなったことでしょうか。日本代表として日本のために、桜のジャージのために、という感覚が強くなったのは2007年大会からだと思います。ラグビー界自体、グローバル化が進んでいた変化のタイミングでした。

大野 この大会で様々なルーツを持つ選手たちが一緒になり、多様性のベースができたことが後の2019年大会につながっていったと考えています。JK(ジョン・カーワン ヘッドコーチ)がジャパンのキーワードに「武士道」を据えてくれて、ルーク・トンプソン、ハレ・マキリ、フィリップ・オライリー、ブライス・ロビンス、ルアタンギ・侍バツベイ、みんな桜のジャージのために勝ちたいと思ってくれていました。外国人選手がそのように思ってくれるような礎を作ってくれたメンバーだと思います。

──あらためてカナダvs日本戦の見どころ、注目してほしいポイントをお願いします。

大西 得点シーンは少なかったかもしれませんが、ひとつひとつのぶつかり合いや接点の激しさに力が入る一戦で、ワールドカップに消化試合はないということをあらためて思わせてくれた試合でした。ボルドーとはあまり縁のない日本とカナダの試合に満員のお客さんが集まってくれて、日本でもあのようなシーンを作りたいと思わせてくれた試合でもあります。去年のワールドカップでそれが実現されたことはすごくうれしく思っています。

大野 カナダもジャパンも気合がみなぎっていて、ラグビーの醍醐味であるコリジョン(ぶつかり合い)が楽しめる試合だと思います。しょっさんらバックスの選手もガツガツ当たっていましたし、客観的に見てもすごくおもしろい試合だと思いました。

──今春、多くのファンに惜しまれつつ現役を引退した大野さんですが、長く現役生活を続けることができた理由やモチベーションはどのあたりにあったのでしょうか?

大野 若い時は「何としても試合に出たい」という思いで、試合に出られるようになってからは「出て当然だ」という態度をせず、ベテランになってからは若手に「おっさんでもがんばっているから自分もがんばろう」と思ってもらえるように、という形でその時その時によってモチベーションは変わっていきました。単純にラグビーをプレーすることが好きだったこと、スタジアムでいろいろな方に声をかけてもらったこともその大きな要因ですね。

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