「サッカーができない」――“葛藤”から始まったW杯への道 冨安健洋が2年ぶりの代表復帰戦で抱いた感情「ただ思い出作りに来ているわけでもない」

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キャリアを揺るがす大怪我を乗り越え、代表の試合に挑んだ冨安(C)Getty Images

復帰後最長の82分間もピッチに立った男

 2年ぶりとなる代表戦のピッチ、それも北中米ワールドカップ(W杯)の初戦まで約2週間と迫る中で迎えた“最後”の強化試合。普通なら緊張や気負いが出てしまいそうなものだが、意外にも冨安健洋は「まぁ別にフルでやろうと思えばやれたと思う」と冷静だった。

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 5月31日、国立競技場を埋め尽くした6万2212人もの観客からの熱視線が注がれた。日本代表として2024年6月11日のW杯2次予選のシリア戦以来719日ぶりにプレーした冨安は、相変わらずの完成度の高いプレーを随所で見せた。

 3バックの右で先発起用された27歳は、今年2月にエールディビジのエクセルシオール戦で公式戦復帰を果たして以来、最長となる83分間にわたって最後尾からチームを統率。アイスランドを押し込み、日本の攻撃の時間が続いた中で、持ち前のスピードと反応を利した素早いカバーリングで幾度かピンチの芽を刈り取った。その集中力とクレバーさたるや、傍目には大きな不安を感じさせなかった。

 いち早くコンディションを高めなければならないという緊張や焦燥感は、おそらくないわけではない。そこは本人も「やっぱり60分以降になると少し落ちる。そういう感覚は僕の中ではあった」と認めるところだ。

 しかし、同時に「まだやれるという感覚もあった」という冨安は「長くプレーすることに関しては別に……。しっかりと練習はずっとできていたので、そこの積み上げはあると思っていた」と語る。

 さらに「連携のところ、特に攻撃のところはもうちょっと前線のリツ(堂安律)やタケ(久保建英)をシンプルに使って、彼らをもう少し気持ちよくプレーさせたかった」と守備以上の役割に余力を使いきれなかった自分に矢印を向けた。

「ワールドカップ本戦でもいろいろな相手がいると思ってます。オランダとの初戦をどう戦うかにフォーカスがされがちですけど、自分たちがボールを持って、試合を進める展開になるケースも間違いなくある。

 その中で僕らバックの3人と、プラスしてボランチが前線の選手たちにアドバンテージを与えられるようなボールの動かし方ができれば、得点機会も増える。その中で僕らはリスクマネージメントをしなきゃいけない。でも、リスクを潰せれば、相手の陣内でずっと進められる。そこはもっと後ろの選手たちがやるべきかなと思う」

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