ダヤン・ビシエド、突然の引退から1週間──“エル・タンケ”が残した温もり
中日・DeNAで共にプレーした京田陽太は、66番の刺繍が入った練習着で涙ながらに語っていた。
「家族もいますし、タンケの中では大きな決断だったと思います。顔を見ると、こみ上げるものが……。それぐらいタンケと過ごした時間は僕の中で大切なものでもあるので。寂しいですね……結構辛いです」
きっとこの言葉は、彼らと同じ時間を過ごしたファンも共感したのではないか。あまりにも急すぎる別れに心の準備もできないまま、その瞬間を迎えてしまった。もうその勇姿を見られない寂しさ。一方で、家族との時間をゆっくり過ごしてほしいと願う気持ち。さまざまな想いがないまぜになって襲う──筆者もそうだ。
誰よりも懐が深くて、優しくて強い“エル・タンケ”は愛する家族のもとへ戻っていった。キューバから筏で亡命してから20年余り、きっと彼は長い旅を終えた感覚なのだろう。決断は尊重したい。ファンにできるのは、日本野球や文化を愛し愛された選手がいたと語り継いでいくことだ。
[文:尾張はじめ]
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