F1公式セッションで5年ぶりに走行した日本人ドライバーとは?レギュラー獲得するには?
実際に走ってみたら…
山本尚貴がフリー走行1回目で鈴鹿を駆る(ⓒRedBull Content Pool)
実際に走ってみると評価が一変した。
実車に1度も乗ったことがなく、F1用のピレリタイヤを装着するのも初めて。英国のレッドブルの施設でレーシングシミュレーター(疑似運転体験装置)を利用する機会はあったが、それも1回のみだった。遅くて当たり前の中、トロロッソでレギュラーを務めるダニール・クビアト(ロシア)にラップタイムで0・098秒差に迫ったのだ。ちなみに出走20台中17番手のタイムだった。
「その差は0・1秒。ほぼ同じくらいのタイムで走れたので、僕のデータを(チームが)有効に使ってもらえるのかなと思う。ひとまず、自分の仕事は合格点をあげても良いのかな?」と本人も胸をなで下ろした。
鈴鹿サーキットのレーシングスクール出身で2度の王者に輝いているスーパーフォーミュラでは通算7勝のうち5勝を鈴鹿で挙げている。ホームコースの隅から隅までを知り抜いており、それがアドバンテージとなったのは間違いない。
これならレギュラー昇格の道が開けると思いきや、そうは問屋が卸さない。トロロッソは若手育成を主体としたチーム。31歳の年齢は採用基準から大きく外れているのだ。チームのフランツ・トスト代表も「彼の走りには満足しているが、チーム哲学には則していない。リザーブドライバーかそのたぐいの任務をしてもらいたい」と起用に消極的だ。
それでも日本人ドライバー誕生の道を再びこじ開けるマイルストーンになったのは確かで、元F1ドライバーの中野信治も「日本でレースを戦っているドライバーのレベルが高いことを証明した」と大絶賛。
海外のレースに出ることなく、日本で純粋培養されたドライバーがビッグパフォーマンスを見せた功績は大きい。
[文/東京中日スポーツ・鶴田真也]
トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)
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