オリンピックの5つの輪が表すものは? シンボルに込められた五輪創設者の想い

タグ: , , , 2024/8/7

オリンピックシンボルでもある5つの輪の意味するところとは?(C)Getty Images

 オリンピックでおなじみの五輪のマーク。このシンボルは近代オリンピックの父ピエール・ド・クーベルタンが考案したものだ。

 オリンピック憲章によると、5つの輪はオリンピック・リングとよばれ、カラー版の場合左から順に青・黄・黒・緑・赤と並ぶ。これらは5つの大陸の団結、およびオリンピックに全世界の選手が集うことを表しているという。

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 なお、大陸の数が5なのは、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、オセアニアという数え方をしているからで、定住する人のいなかった南極大陸は含まれていない。

 また、輪の5色は特定の大陸をさすわけではなく、地の色である白と組み合わせると世界の国旗のほとんどを表現できることから選ばれたのだという。

 先述のとおり、このシンボルはクーベルタンによって考案された。彼は1863年にフランスで生まれ、1894に古代オリンピックの復活を提唱した。30代そこそこで世界的な祭典を構想したわけだが、そこには祖国への想いと古代への関心、スポーツの可能性を信じるに至る土壌があった。

 クーベルタンが青春を過ごしたころのフランスは、他国との戦争の余波で活気がなかった。彼は祖国の現状を打開するには教育の力が必要だと考えるようになり、イギリスやアメリカなど、様々な場所を視察した。

 なかでも感銘を受けたのは、イギリスのパブリックスクールだったという。そこでは生徒たちが紳士的かつ積極的に運動を行っており、そのような在り方からスポーツ教育の可能性が見出された。また、クーベルタンが生まれる少し前には、ギリシャのオリンピアで遺跡の発掘が行われた。かつてその地で開催されていた古代オリンピックも話題となり、以降ヨーロッパではオリンピックの名を冠する大会が散見されるようになった。

 このような社会状況は、クーベルタンを刺激した。また、古代オリンピックでは、選手たちが各地から集い、会期中は戦争も停止されたという。こうしたいきさつも、教育の出発点が戦争で疲弊した祖国の改革であった彼にとっては、魅力的に映ったのであろう。

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