佐々木麟太郎の米国留学をプロスカウトはどう見たか? 「ドラフト有力候補」が下した決断の影響を有識者が考察

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花巻東から米大学への留学を決意した佐々木。その挑戦をプロの関係者たちはどう見た?写真:西尾典文

 10月26日に行われたプロ野球ドラフト会議は、プロ入り希望を出せば、指名が確実視されながら志望届を提出しなかった選手も少なくなかった。その筆頭と言えるのはやはり佐々木麟太郎(花巻東)である。

 入学直後から本塁打を量産し、約2年4か月で140本塁打を記録した。高校通算本塁打数はあくまでも参考記録であり、その選手の実力と「イコール」ではないと言われるものの、やはりこれだけのホームランを放つ打力は並の才能ではない。佐々木がプロ志望届を提出していれば、方針を変えていた球団が出ていた可能性もあった。

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 では、実際にプロ側の佐々木の評価はどんなものだったのだろうか。あくまでも仮定の話に過ぎないが、ドラフト会議後に複数のNPB球団スカウトから話を聞いた限りでは、やはり1位指名の可能性は高かったように思われる。ただ、2017年に当時最多となる高校通算111本塁打を放ち、7球団が競合した清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)のようにダントツの一番人気とはならなかったのではないだろうか。

 そう考えられる理由のひとつが、打撃以外のプレーである。一時期、佐々木は捕手にも挑戦したことはあったものの、基本的にこなせるポジションはファーストだけである。近年のプロ野球各球団は、成果を上げる外国人選手の獲得に苦戦しているとはいえ、やはりファーストしか守れないとなると、出場機会は大きく限定される。

 さらに清宮と比べて特に劣っている部分は脚力でもあった。清宮も決して俊足というわけではないが、加速してからのスピードはなかなかのものがあり、ツーベースの二塁到達タイムなどは平均よりも速いくらいだった。

 実際、プロ入り後も外野やサードも違和感なくこなすことができている。一方の佐々木は完全に“鈍足”と言えるレベルであり、将来的にファースト以外のポジションを任せられる可能性は低い。スカウト陣からも指名打者制のないセ・リーグ球団は、特に指名しづらかったのではないかという声が多く聞かれた。

 また、そもそも佐々木のバッティングも懐疑的で、プロ志望だったとしても上位指名ではなかったのではないかという声があったのも事実である。その理由としては、現時点でスイングに無駄な動きが多く、140キロを超える速球への対応が物足りないというものだった。3年夏の甲子園で敗れた仙台育英戦では、本格派投手の前にノーヒットに終わっている。

 高校生だけに課題は多くて当然だが、それを解消できない可能性が高いと判断する意見があっても不思議ではない。とくにバッティングの対応力はプロのスカウト陣でも「判断が最も難しい」と言われている要素であり、突出した脚力や肩の強さがない選手となると、なおさらリスクが高いと判断されても致し方ないことであった。

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