鈴木彩艶が森保ジャパンにもたらした“進化”を識者が分析 成功率だけで測れない「ロングキックの効能」とは
鈴木のロングキックは間違いなく日本代表の新たな武器になる(C)Getty Images
キリンカップのエクアドル戦、前半が終わりに近づいた頃だった。
GK鈴木彩艶から対角へロングキック。中村敬斗をねらったボールは、その手前でDFフランコにヘディングで防がれてしまった。ところが、スタジアムは「おぉ~~っ!」と沸く。いや、ミスしても歓声とか、それもうアイドルやないか。
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気持ちはわからなくもない。パントキックでもないのに、弾道はライナーで無重力感があり、まるで超ロングシュートのようなパス。しかも、「ふんっ!」みたいな力みもなく、軽~く足でブン投げたような美しい脱力感だ。そりゃ「おぉ~~っ!」と言いたくもなる。昔、イチローのレーザービームを見たときの歓声を思い出した。
そんなわけで日本代表の新たな武器として注目を浴びる、鈴木彩艶のロングキック。所属のアストン・ビラでも輝きを放っている。
ただし、本当のことを言えば、北中米ワールドカップの時点で完成していたら良かった。鈴木彩艶の敵陣へのロングパスは、FIFAのデータによるとオランダ戦で8本中1本も成功せず、チュニジア戦は4本中2本、スウェーデン戦は12本中2本が成功。あまり高い成功率とは言えない。ブラジル戦は13本中5本が成功したが、その直後にカゼミーロらにボールをさらわれるシーンが多く、戦術としては未完成な印象が強かった。
では、今回のエクアドル戦はどうか。
筆者の手元集計だが、前半に鈴木彩艶は敵陣へ9本のロングキックを蹴り、3本が成功した。後半はエクアドルが少し引いて構えたため、ロングキックは4本に減ったが、うち1本が成功している。試合全体では13本、成功は4本だった。(ただし、成功しなかった9本のうち1本は相手がクリアしてタッチラインに逃れ、日本のマイボールになったので失敗とも言えない)
しかし、その成功した4本のうち、そのまま攻撃を仕掛けたのは2本で、残る2本は受け手の技術的ミスもあり、エクアドルに奪い返された。期待感はあったが、W杯から大きく成長したとまでは言えない。敵陣へのロングキックは、W杯で対戦したオランダやスウェーデン、ブラジルは成功数、成功率ともに日本よりも上だったので、精度、受け手の技術、連係、セカンドボールを含め、まだ改善の余地は大きいと感じた。
もっとも、今回のエクアドル戦で一番重要だったのは、ロングキックが4本成功したことではなく、13本蹴ったことだろう。
つまり、GK鈴木彩艶から、まるでアメフトのタッチダウンパスのように一発でゴールに迫るボールを、何度も見せた。その脅威を突きつけられたエクアドルは、ライン間へ下りる久保建英らに寄せられなくなった。
相手FWの間を抜く、ミドルパス。前半に久保が3回、鈴木唯人は1回、後半には鎌田大地が2回、鈴木彩艶からグラウンダーの縦パスを受け、プレス回避に成功した。6回中6回成功。成功率は100%だった。













