鈴木彩艶が森保ジャパンにもたらした“進化”を識者が分析 成功率だけで測れない「ロングキックの効能」とは
元よりエクアドルの4バックは、変形する日本の5トップに対し、1枚の数的不利となる。鈴木彩艶のロングキックが背後に飛んでくるとすれば、下りる久保や鈴木唯を追うことは難しい。この状況が、間を抜くパスの成功率を上げた。
ロングキックがあるから、間が空く。間を警戒させるから、ロングキックが効く。
たとえば17分には瀬古歩夢を右サイドの高い位置へ走らせ、鈴木彩艶からロングキックを成功させた。そうやって背後を警戒させた後の23分には、真ん中へ下りる久保へ鈴木彩艶がスパーンと、グラウンダーで通して打開している。どちらの場面でも、中央で指示を出していた久保には、戦術じゃんけんの意図が感じられた。
また、この試合ではエクアドルのFWが鈴木彩艶までプレスをかけず、ハイブロックで構えていた。そのためGKが起点になりやすく、また、なるべき展開でもあった。
鈴木彩艶はそうしたゲームの戦術的期待に応え、何度も打開に関わったので、前半の時間が進むにつれ、エクアドルのFWは徐々に鈴木彩艶へスライドしてプレスをかけるようになってきた。
この状況で鈴木彩艶が中村へ蹴った、やや蹴らされ気味のロングキックは、前述の通り歓声を浴びつつもミスで終わったが、相手FWが鈴木彩艶まで来たのなら、日本のDFやボランチはどこかで浮いている。その箇所を利用してビルドアップすればいい。その後は久保らが受け手になったショートパスで打開するトライが何度も見られた。
A(ロングキック)、B(間を通すミドルパス)、C(外してショートパスで運ぶ)。
AがダメならB、BがダメならC、CがダメならA。鈴木彩艶を中心としたビルドアップは、その輪郭が見え始めている。この戦術、来年1月のアジアカップで通じるだろうか。2024年の前回大会を思い返すと、イラクやイランのハイプレスに屈した苦い思い出が残るが、これならどうだ。
楽しいリベンジになるのではないか。
[文:清水英斗]
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