フィギュアの年齢制限はなぜ?浅田真央、紀平梨花、ロシア勢…

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年齢制限の意図は?

 年齢規制の意図について、ISUは「少年少女の精神的重圧や過度な練習による成長の妨げを防ぐ」と理由を挙げる。体が完全に成熟する前の若い選手たちは、より複雑な要素を行うことができる。例えるなら、4回転ジャンプを当たり前のように跳んでしまう今のロシアのジュニア勢や、トリプルアクセルを軽やかに跳んでいたかつての浅田真央のように。

 だがほとんどの女子選手が、成長期の体形変化に苦しむ。背が伸び、体重が増え、女性らしい体つきになると、それまで跳べていたジャンプが失われる選手も多い。これから勝つためにトリプルアクセル、4回転が必要な時代になれば、より危険な技を求め、ケガのリスクが増えて選手寿命を縮めかねない。

 世界女王のザギトワは平昌五輪から半年で身長が7センチ伸びた。急激な体形変化で思うような演技ができないジレンマは、今シーズン不調の滑りを見れば明らかだ。18歳で全日本王者となった坂本花織は「私のジャンプは、背が伸びる前の15歳くらいが一番良かった。その頃の試合の映像を見ると、自分でも驚くほど大きなジャンプを跳んでいます」と言うほどだ。

 安藤美姫は14歳のとき、世界ジュニア選手権で女子史上初の4回転サルコーを成功させた。そこから体が成長し、4回転に何度挑んでも跳ぶことはできなくなった。4回転のこだわりを捨て、身体的ピークを乗り越えて復活した安藤は「ホルモンバランスが落ち着いてくると、体も整ってくる。19歳のときにグランプリシリーズで優勝して、一つ成長できたと思えた時期だった」と振り返っている。

 フィギュアの魅力は1つではない。アスリートとして若い選手にかなわなくとも、豊かな感情表現、より深い音楽や物語の表現は、年齢を重ねてきた選手だからこそ見せられる。ジャンプ技術が衰えたから燃え尽きるのではなく、芸術性で競うことで選手寿命を伸ばすことができる。

表向きの理由

 一方、ISUの「身体的理由」は実は表向きで、実際は「トップ選手の流出阻止」という意見もある。女子シングルで94年リレハンメル五輪のバイウル(ウクライナ)、98年長野五輪のリピンスキー(米国)はいずれも15歳で優勝した後、プロに転向した。世界的な実績があれば、プロで莫大な収入を稼ぐことができる。あまりに早く人気選手がプロに転向すれば、運営するISUにとってはアマチュア大会の衰退につながり、収入が減ることで選手育成にも影響するため死活問題だ。

 幼少から厳しい練習に耐えてきたトップ選手にとって「プロスケーターとして稼ぐこと」が大きな魅力であるのは間違いなく、五輪や世界選手権で勝つために無理をするケースは考えられる。その抑止力としての「年齢制限」でもあり、6月のISU総会では「15歳から17歳への引き上げ」も議論されたほどだ。

 年齢なんか関係なく「全盛期」の真央ちゃんが五輪に出ていればどうなっていたか…とつい考えてしまうが、そんな簡単にはいかないようだ。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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