名参謀が証言した中谷潤人に“足りなかったモノ” 井上尚弥との激闘をリングサイドでどう見ていたのか?「私の失敗は、最初から積極的に戦わせなかったこと」
井上とハイレベルな攻防を繰り広げた中谷(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
「イノウエには改めて敬意を表したい」――正直に認めた怪物の凄み
12ラウンドをフルに戦い抜いた。それでも眼前に立ちはだかった“モンスター”という壁は高く、打倒することは叶わなかった。
去る5月2日、中谷潤人(M.T)は、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大橋)に判定(0-3)で敗れた。戦前から「モンスター有利」の見方が大勢を占めた世紀の一戦で28歳は、敵陣営が「日本最高の技術戦だった」(大橋秀行会長談)と認める緊迫の攻防を繰り広げたが、力及ばず。キャリアで初めて敗北した。
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序盤からパンチの無駄打ちはせず、中間距離を保ちながら得意の左を食らわせる隙を伺っていた中谷。しかし、「さすがチャンピオン。ボクシングを作っていくのがすごく上手だった」と自ら語ったように、経験値で勝る井上の牙城を崩しきることはできなかった。11ラウンドには2発のアッパーで左眼窩低骨折となるダメージを受け、反撃する力を失った。
随所で中谷も付け入る隙を見出そうとしていた。実際、その力を物語るように試合後の会見に登場した井上の左目尻には青アザが出来てもいた。では、“最強の挑戦者”には何が足りなかったのか。
綿密な戦略を組む上で重責を担った名参謀のルディ・ヘルナンデストレーナーは、元米スポーツ専門局『ESPN』のスティーブ・キム氏に対して、井上の動きを見極めてカウンターを狙うというゲームプランに「固執しすぎた」と証言。「私の失敗は、ジュントに最初から積極的に戦わせなかったことだと思っている」と語った。
たしかに井上側にポイントが傾いた序盤戦で積極的に打ちに行っていれば、判定結果が変わった可能性もある。一方で、果敢に打ちに行けば、試合終盤のように近距離戦に持ち込まれ、一方的に押し込まれてしまうリスクも生じる。
対戦相手に悩ましい選択を強いる。それも“世界最強”と呼ばれる井上と対峙する難しさでもある。ヘルナンデストレーナーも、「イノウエには改めて敬意を表したい。私は勝つべき選手が勝ったと思っている」と正直に認めている。
「イノウエはリング上での思考が速く、パンチ力も、スピードも、素晴らしかった。私の戦略はジュントに相手のタイミングを掴ませ、読み切れたところで反撃の手を打つようにすることだった。だから、もう少し早く攻めていれば、結果は違っていたかもしれないとは思う。しかし、同時に私は言い訳もしたくなかったんだ」







