中谷潤人が“番狂わせ”を起こすには何が必要か? “モンスター”井上尚弥との決戦で求められる「2つのハードル」【現地発】
前戦のヘルナンデス戦で、序盤に仕留め切れず、苦戦を強いられた中谷(C)Getty Images
多くの修羅場を潜り抜けた井上に“適応”を許さないことは可能なのか
身長、リーチに恵まれる中谷だが、サウスポースタンスからの右ジャブが得意という印象はない。外から突き刺すパンチというより、強烈な左を打ち込む前の距離測定用のようなイメージだ。
だからこそ、“モンスター”を撃破するためには、右のジャブの質を上げる必要がある。元世界スーパーライト級王者であり、現在は米スポーツ専門局『ESPN』などで解説者を務めるクリス・アルジェリも、米ポッドキャスト番組『Inside Boxing Live』で、そう指摘していた。
「ナカタニはサウスポーの構えをしっかり生かし、リードハンドを多彩に使い分けないといけない。ジャブとフットワークが勝利への鍵であり、道筋になる。目くらましのようなジャブ、硬いジャブ、突き刺すようなジャブ、パワージャブと、いろんな種類を織り交ぜる必要がある。前手で相手の意識をそらし、視界にちらつかせて瞬きを誘い、その隙に大きな左を打ち込む。イノウエにとって見えない一撃、特に左を当てることが重要で、それはジャブから生まれるはずだ」
ルイス・ネリ(メキシコ)、ラモン・カルデナス(米国)の左でダウンを喫したことで、左の強打への対応こそが井上にとって最大の不安材料と認識された感がある。今戦でも一般的に中谷が左を当てられるかどうか焦点と見られているが、そう考えているのは井上も同じであろう。間違いなく対策は講じてくる。そうやって警戒された中でも“サンデーパンチ”を当てるために、右の精度に注意を高めるべきに違いない。
そして、もう1つのポイントは、中谷がパンチを当てた時の効果である。井上にクリーンヒットする機会があったとして、スーパーバンタム級で戦ってきた相手に深いダメージを与えられるかどうか。多くの修羅場を潜り抜けながら、試合中のアジャストメント能力を証明してきた井上に、適応を許さないことは可能なのか。
昨年5月にラスベガスで実現したカルデナス戦での井上は2回に不覚のダウンを喫したが、そこから巻き返して8回KO勝ちを飾った。その試合後、中谷を指導する名物トレーナーのルディ・ヘルナンデス氏がこう述べていたのが思い出される。
「ジュントには、『イノウエからダウンを奪うことがあったら、そのまま起きてこないようにしなければいけない』と伝えたよ。立ち上がってきたら、怒りを持って攻めてきて、さらに危険な相手になるだろうから。イノウエも人間であり、パンチを浴び、ダウンをすることもある。ただ、ダウン後の強さを見て、余計にナーバスになったくらいだ(笑)」








