高校野球に進んだ「スーパー中学生」が必ずしも「スーパー高校生」にならない理由とは

高校野球のスカウティングにも様々な難しさがあるとされる(C)産経新聞社
逸材の確保へ、早期化が進んでいます。
高校野球のスカウティングについての現状です。甲子園出場を達成するため、そしてそこで勝つために、いかに有望中学選手を集められるかは大きな第一関門。プロ野球の世界でも編成の力がチーム作りの根幹であるのと同様です。早いケースでは1年の冬から、高校関係者が中学硬式クラブチームへと接触するとも聞きます。
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高校野球取材歴の長いライターは言います。
「中学硬式クラブチームの全国大会は高校野球関係者にとって、重要な視察の場になっています。その中から各カテゴリーの選抜メンバーに入れたら、さらに価値は上がります。最高峰は侍ジャパンU-15日本代表メンバー。そこで活躍した選手は『スーパー中学生』としてメディアにも取り上げられ、進路にも関心が寄せられることになります」
ここで素朴な疑問が一つ、浮かんできます。そういった「スーパー中学生」が、必ずしも甲子園大会などで活躍する「スーパー高校生」になるとは限らない、という事実です。
「理由の一つはケガです。特に投手ですが、中学時代という成長期のまっただ中に投げすぎてしまい、いざ高校に入る時点で肩や肘に障害を抱えてしまう例は少なくない。トミー・ジョン手術を受ける投手もいます。本人が少しでも上を目指して練習をしすぎたり、実戦で投げすぎたりすることはやむを得ないので、周囲の大人がストップをかけてあげる必要がある。中学がピークと言うのも寂しい話ですから」(前述のライター)