判断ミスで敗戦の責任を背負い込んだエースが1年越しのリベンジ。三河が昨季覇者・栃木に2連勝でCS準決勝進出

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21点のリードがわずか3点に。「パスはしないで自分で打ち切ろうと思った」

 Bリーグ・チャンピオンシップ(CS)準々決勝が行われ、シーホース三河が栃木ブレックスを80-75で2連勝を飾り準決勝進出を決めた。栃木は昨季のCS準決勝で敗れた因縁の相手。チーム最多の21得点をマークした比江島は「昨年の経験があるから反省を生かしたいと思った。絶対に勝たせようと。昨年と気持ちの面々で全然違った」と安どの表情を浮かべた。

 1年前の悔しさを誰よりも強く感じていたのが比江島だった。昨年のCS・栃木との対決は5分ハーフの「第3戦」で自身の判断ミスが勝敗の明暗を分けた。2点リードで迎えた試合終了残り25秒。相手エリア内でパスを選択したがスティールされて速攻から同点弾を許した。逆転負けを喫した試合後、「最後の最後、自分の判断ミスで負けたので悔しいです」と敗戦の責任を背負った。

 先勝して2戦目のこの日。楽勝ムードから一転、昨年の悪夢がよぎった。第4クォーター開始で6連続ポイントを決めて68-47と最大21点差まで突き放すが、ここから栃木の猛追に苦しんだ。残り30秒で78-75とリードはわずか3点に。窮地を救ったのはエースだった。「昨年の悔しい思いが(試合中に)よみがえってきた。パスはしないで自分で打ち切ろうと思った」とマッチアップする喜多川の厳しいマークを振り切り、ジャンプシュート。勝負を決定づける2得点に右手の人差し指を突き上げた。

 鈴木貴美一ヘッドコーチも「彼(比江島)が一番負けた悔しさを口にしていた。(今日は)目を見て『絶対にやる』と思って多くボールを持たせた。さすがだなと思いました」とエースの働きぶりを絶賛。比江島は「チャンピオンシップでもこの(レギュラーシーズンの)倍の声援を」とファンに呼び掛けていたが、試合後のヒーローインタビューも独特の言い回しでホーム・ウィングアリーナ刈谷に詰めかけた満員のブースターから大歓声を浴びた。「みなさんをファイナル(決勝)に連れていくので、3倍…2.5倍の声援を宜しくお願いします」。呪縛から解き放たれた。このまま頂点まで一気に駆け上がる。


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[文/構成:ココカラネクスト編集部]

比江島 慎(ひえじま・まこと)

1990年8月11日生まれ、福岡県出身。190㎝/88kg。福岡市立百道中学、京都・洛南高校を経て青山学院大学。青学大では2年連続インカレ制覇を達成し、2013年からアイシン三河(現・シーホース三河)へ入団。切れのあるドライブを武器にルーキーイヤーから活躍。2015年のリーグ制覇に貢献。Bリーグ初年度の昨年は、セミファイナルの延長戦残り30秒からの逆転負けを喫し、今シーズンは雪辱に燃える。日本代表でもエースとして活躍中。

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