日本野球の固定概念を覆した バレンタイン監督から学んだ「米国式コンディショニング術」

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「管理野球」の色あいが強かった日本野球で衝撃的だったバレンタイン改革

2005年当時、ロッテ1軍コンディショニングコーディネーターとして優勝に貢献した高橋純一氏


 「J.T. STRENGTH & CONDITIONING代表」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は私が千葉ロッテマリーンズでお世話になったボビー・バレンタインについてお話させていた来ます。

 私は05年から2年間、千葉ロッテマリーンズで1軍コンディショニングコーディネーターを務めました。前年までサンディエゴ・パドレスで通訳兼コンディショニング補佐として働いていましたが、バレンタイン監督が就任2年目で前シーズンの課題点を分析し、アメリカ式のコンディショニングについてわかる人材を求めていたようです。

 バレンタインの改革は「管理野球」の色あいが強かった当時の日本野球で衝撃的に受け止められました。日本はコーチが選手の練習をつきっきりで見ることが多いですがこれを廃止して、選手の自主性を尊重。チームで管理する練習量を抑えました。投手のランニングメニューもリリーバーにおいてはポール間走、200メートル走のようなロング系がほぼなくなり、全体練習の量は当時の他球団と比較してもかなり少なかったのではないでしょうか。ただ決して楽になったわけではありません。「自主性」に委ねられている以上、選手たちは長いシーズンで安定した100%近いパフォーマンスを発揮できるよう、自ら積極的に体調管理に取り組んでいました。バレンタイン自身も、本拠地主催試合の日は早い時間から球場に来てトレーニングルームで体を動かしながら、選手に体調を聞くなどコミュニケーションを密に取っていました。「選手の自主性とチームの統率性の融合」が非常にうまかったです。

 選手の起用法も画期的でした。勝負が掛かるシーズン終盤に向けて戦力が欠けるリスクを回避しなければいけません。長いシーズンを見据え、各選手の体力レベル、その日の対戦相手とのデータを綿密に調べて相性の良い選手を使っていました。守備起用で言えば、二遊間は堀幸一、小坂誠、西岡剛、捕手は里崎智也、橋本将、一塁と指名打者は福浦和也、李承燁、マット・フランコをローテーションで使っていました。打順で言えば、スタメン出場する選手が毎試合変わることから、名づけられたのが「猫の目打線」。もっと試合に出たいと思う選手もいましたが、バレンタインは直接コミュニケーションを取って自分の考えを伝えるとともに心理面のケアをしていました。

 就任2年目の05年にパ・リーグ制覇し、日本シリーズを勝ち抜いて31年ぶりの日本一に輝きました。バレンタインから学んだ「心と体のコンディショニング」はストレングス&コンディショニングの専門家として今の私の仕事に大きくいかされています。

プレーオフにてソフトバンクを撃破し、胴上げされるバレンタイン監督


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※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません

[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]

高橋 純一(たかはし・じゅんいち)

高橋 純一

MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。

J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)

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