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偶然ではなかった開幕ハットトリックの衝撃 ドイツで価値を高める鈴木唯人が魅せる“覚醒の兆候”「求めたいのは、結果。もうちょいちゃんとした結果」【現地発】

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積極果敢に得点へと繋がる流れに絡み、ゴール前での決定機を演出している鈴木(C)Getty Images

明らかに変化した立ち位置

 4月10日(現地時間)のヨーロッパリーグ準々決勝ファーストレグで、セルタにホームで3-0と快勝した一戦後、鈴木はチームに起こった変化を次のように表現していた。

「みんながボールを要求するようになっているし、怖がらずボールを受けよう、繋ごうって。相手がどう出てくるのかっていうのもすごく、わかった上で、僕たちもプレーしている。3人目をうまく使いながら、空いているスペースをみんなわかりながら、プレーもできていると思います。

 それで、相手も(前に)出て来れなくなっていたし、相手がボールを持つ時間もありましたけど、そこをうまくしのぎながらできたことが先制点にも繋がった。そこが大事だったんじゃないかなと思います」

 機動力があり、スペースで受けたボールを捌き、ゴール前に顔を出すことができる鈴木にとって、チームの変化から受けるポジティブな影響は計り知れない。

 同時に鈴木への影響は多岐にわたる。とくに個の力で局面を打開していたスイス代表MFのヨハン・マンザンビが今夏の移籍市場にプレミアリーグのアストン・ビラへ移籍したために生じた“穴”をどう埋めるのか、という課題解決にも直結した。

「チームがやろうとしてるサッカーっていうのは、一人が全てを打開するようなものが求められてる感じじゃない。チームでちゃんと作って、チームでやるべきことをやっていこうみたいな話はよくしているので」

 クリスタルパレス戦後に語ってくれたこの言葉こそ、今季の鈴木を理解する上で肝となる。

 マンザンビのような個の力を持った選手に依存することなく、チームで相手を動かし、空いたスペースを共有し、的確にボールを届けていく。フライブルク全体で、攻撃を組織的に構築できるようになったからこそ、鈴木が最後の局面で力を発揮する機会が増えているというわけだ。

 また、ブレーメン戦の3得点が全て異なる形から生まれたのも興味深い。

 1点目はニクラス・ベステのCKに対する鋭い動き出しからヘディングでゴール。2点目は左サイドからの折り返しへ相手DFのポジショニングからうまくスペースに入り込んでのゴール。そして3点目はイゴール・マタノビッチとのコンビネーションから、自らボールを預けてゴール前へ走り込み、リターンを受けて仕留めたものだった。

 ボールを受ける位置とゴールへ向かう場所が、チームの中でより明確になっている。鈴木を起点とした循環ができているからこそ、必然的にチャンスが増える源になっている。

 決められるか、決められないかだけを見れば、得点は偶然にも左右される。しかし、「どれだけ決定機に入れているか」「どれだけボールが自分のところへ戻ってくるか」という過程を見れば、今季の鈴木が置かれている状況は明らかにこれまでと違う。

 開幕戦のハットトリックは、その変化が数字として表れた瞬間だ。ゴールへの図式が、フライブルクの中で形になり始めているからこそ、今季の鈴木からは、得点もアシストも量産しそうな予感がしてならない。

[取材・文: 中野吉之伴 Text by Kichinosuke Nakano]

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