なぜ39歳メッシは歩くのか? 総走行距離10kmのうち7kmが徒歩の衝撃データに隠された“さぼり”ではない「異能」【W杯】
ピッチ上で虎視眈々と隙を狙い続け、ここぞの場面で動くメッシ(C)Getty Images
スプリント距離が56.6mだけだった試合も
目下開催中の北中米ワールドカップ(W杯)で、39歳となったアルゼンチン代表FWのリオネル・メッシ。この不世出の男を「偉才」たらしめる要因の一つとして、たびたびクローズアップされるのが、試合中の振る舞いだ。
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戦術が進化した昨今のサッカー界は目まぐるしくボールが展開され、多くの選手には、より速く、よりフィジカルなプレーが求められている。当然ながらトランジションが激しくなるため、運動量もかつてないほどに増えている。
そんなトレンドと逆行するようなプレーを見せているのが、メッシなのである。試合中の彼はピッチ上をふらーっと練り歩く姿がたびたび見られる。現代サッカーにおいては「怠惰」なようにも映るプレーぶりはデータにも表れている。
統計サイト『Opta』によれば、延長戦を含めた120分にフル出場した決勝トーナメント1回戦のカーボベルデ戦の総走行距離は10.36kmだったのだが、スプリントした距離は僅か56.6m。さらに全体の7.03kmは歩行していた。そのスプリントの少なさを見ても、メッシがいかに試合中に“歩いているか”は一目瞭然である。
しかし、彼を批判する者はいない。開幕から5試合で8得点、1アシストを記録している絶対的エースは、歩いていようとサッカーにおいて何よりも重要な得点に関与し続ける。
ではなぜメッシは歩き、そして歩くことを許されるのか。当然、加齢により体力をセーブする意味もあるが、エキスパート曰く何よりも身体の使い方を理解している点が大きいという。かつて名門リーベル・プレートを率いたアルゼンチン人の智将マルセロ・ガジャルド氏は、米スポーツ専門局『ESPN』で「何よりも彼自身は自己管理ができていることが大きい。自分の身体の状態、そして潜在能力も理解している」と指摘。その上で、こう分析を続けている。
「メッシは、次にボールがどこに来るかを理解する能力を持っている。つまり、自分がどこにポジションを取るべきかを理解する知性だ。彼が試合中に歩いているように見えることはよくあるが、それはボールが自分に届くことを確信しているスペースを見つけるのを待ちながら歩いているのだ。だから彼は無理にボールを追いかけようとはしない。その嗅覚は、並外れた能力の表れだ」












