7年ぶり優勝は成長の証か 難敵フィジー撃破で見えたラグビー日本代表の「進歩」と「課題」
フィジー戦の勝利はチームの自信になりそうだ(C)産経新聞社
9月19日にラグビー日本代表(世界ランク12位、以下ジャパン)とフィジー代表(同9位、以下フィジー)との間でパシフィックネーションズカップ決勝戦が行われ、ジャパンが20-15で勝利した。ジャパンは同大会7年ぶりに優勝し、通算優勝回数を4回に伸ばした。フィジー相手の連敗を3で止め、通算成績を5勝17敗とした。
【動画】凄まじいFW陣の圧力に…力の差を見せつけられたフランス戦のハイライト
まずは素直に勝利を喜びたい。ジャパンの「今年こそは勝つ!」という意気込みを3年連続ではね返し、観客にため息をつかせていた難敵フィジーからの久々の勝利。毎度毎度、攻め込んで行っては、フィジーの強いフィジカルで密集戦で遅れを取り、ボールを奪われた後には巧みなハンドリングとステップワークに翻弄されて一気にトライを奪われて、点差も開く上にチームのモメンタムも消えるという展開を見せつけられていた。しかし、この試合では、蒸し暑さによる大量の発汗の影響でフィジーにハンドリングミスが生じたこともあったが、そうした「萎える」シーンは一度も見られなかった。フィジーにボール渡してしまうシーンも少なかったし、アンストラクチャーな場面からのフィジーのランプレーを、ことごとくスピードに乗る前の段階で食い止め、綻びを生じさせなかった。
ジャパンの試合運びについては、スタッツが端的に示している。ラグビーメディア『RUGBYPASS』のカウントによれば、テリトリーはジャパン63に対しフィジー37、ポゼッションは同64に対し36。ジャパンがボールを失わず、地域的にも常に優位に立っていたことを示す数値だ。ジャパンはセットプレーを数多くし、フィジーの奔放な攻撃の時間を削ぐことにも成功していた。セットプレーの中でも、スクラムで相手を押し込んだことが試合の主導権をフィジーに渡さない流れを作り出した。
そして特筆すべきはドミナントタックル(相手を仰向けにひっくり返したり、後退させたりする圧倒的なタックル)が7本もあったこと。今までの戦いで数多く見られたフィジーお得意の逆襲を見事に封印した上、チームのモメンタムを大いに高めた。試合の最終盤で、負傷者続出のために不慣れなWTBのポジションに入っていたFL下川甲嗣がみせたタックルは文字通り試合を決めるビッグタックルとなった。
攻撃面では、ラインアウトモールの威力が復活傾向にある。ジャパン1本目のトライはラインアウトモールを押し切ってのものだったし、サミソニ・トゥアが奪った決勝トライもラインアウトモールを押し込んでトライライン間際まで迫ったことで生まれたものだ。
ただしラインアウトのスローイングについてはまだまだ改善すべき点が多い。この試合、フィジーは積極的に競りにはこなかった。つまり、被スティールの可能性の低い、プレッシャーの少ない状況だったにも関わらず、前半、相手トライライン前まで迫ってのラインアウトと2本スローミスがあった。ジャパンの3トライのうち、2トライがラインアウトからのモール起点であったことを考え合わせても、ミスしてはいけない場面だった。
格上国を相手にする場合、ロースコアの競り合いに持ち込むことが勝利への条件の一つとなるが、チャンスを確実にモノにする技術とメンタルはしっかりと身につけていただきたい。また、フィジー2本目のトライは、ラインアウトの後方を意識をさせた上で、最前列の選手に投げるというサインプレーに見事に引っかかって奪われた。こうしたプレーへの対策も急務だ。













