「偏見が打ち砕かれた」なぜ“薬物解禁大会”に出るのか? 参加表明の元豪五輪競泳戦士の本音「安全だと思うか? もちろんだ」
ロンドン五輪で銀メダルを手にした実力者であるマグヌッセン。彼はドーピング解禁の異例イベント参加を表明するアスリートの一人だ。(C)Getty Images
前代未聞のスポーツイベントが開催に向けて動きを本格化させている。現地時間5月21日、薬物使用(ドーピング)を解禁して“世界一”を決めるスポーツ大会「エンハンスト・ゲームズ」の運営団体は、来年5月に米ラスベガスで第1回大会を開くと公表した。
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ありとあらゆるスポーツにおいて常識とされてきた「アンチドーピング」の考え方を覆すイベントだ。「人間の新たなカテゴリーを創造する」と語るオーストラリアの起業家アロン・デスーザ氏が創始者となった「エンハンスト・ゲームズ」は、ステロイドやヒト成長ホルモンなど国際大会で禁止されている薬物の使用を容認。陸上(100メートル、女子100メートルハードルと男子110メートルハードル)、水泳(50メートルと100メートルの自由形およびバタフライ)、重量挙げ(スナッチおよびクリーン&ジャーク)の3競技で、世界新記録の更新を目論む。
競技前からどんな薬物を摂取しているかを医師が管理するという前提条件はある。それでも、参加選手の身体的影響は計り知れない。また、世界中のアスリートが致命的な結果を招きかねない違法な物質に手を出す可能性を考慮しても、あまりにお粗末なイベントと言える。
それでも世界記録を破った場合に100万ドル(約1億4400万円)のボーナスが付与される賞金もあって参加を表明する選手は少なくない。その代表格となっているのが、オーストラリア競泳界のレジェンドでもあるジェームズ・マグヌッセンだ。
世界選手権男子100メートル自由形で連覇(2011年、13年)、ロンドン五輪で銀メダルを手にした実績を持つマグヌッセン。彼はなぜ世界的に批判が噴出するエンハンスト・ゲームズへの参加を決めたのか。母国の日刊紙『The Age』の取材に応じた34歳は、その考えを赤裸々に語っている。
「もしも、レースに出るだけで、100万ドル(約1億5600万円)を稼げて、さらにアスリートとして別途報酬を得られるなら、迷う必要なんてない」






