トライアスロン転向3年目、武中香奈枝が語る“今の自分”──収穫と課題、そしてオリンピックへ
競泳出身の武中の武器は、やはりスイムだⓒAKIHIKO HARIMOTO
競泳からトライアスロンへ──転向3年目を迎えた武中香奈枝が、一歩一歩キャリアを前に進めている。
和歌山北高、新潟医療福祉大で水泳に打ち込み、大学卒業後にトーシンパートナーズ・チームケンズへ加入。デビューから5か月後の第30回日本トライアスロン選手権で5位に入り、界隈を騒がせた逸材は今年、勝負の年を迎えている。2028年のロサンゼルス・オリンピックを見据え、挑戦と継続を重ねる25歳の“現在地”を追った。
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チーム加入当初は、慣れないバイクやランに苦戦した。それは今でも課題としている部分だが、持ち前の集中力で着実に前進し、レースを重ねるたびに“トライアスリートとしての自分”を確立していった。昨年はアジアトライアスロンカップ・蒲郡で優勝し、初めて海外レースにも挑戦。世界の舞台で得た経験が、競技観を大きく広げた。
「去年は初めて海外レースに出場して、海外の選手と走る経験を積むことを目標にしていました。今年はオリンピックのランキングに反映される期間でもあるので、より結果を求めていく1年になると思っています」
もちろん、結果が伴わないレースもある。それでも内容を分析し、課題を次へつなげる姿勢は揺るがない。「今が踏ん張りどき」と語る表情には、葛藤の奥に進化への気迫が見える。
「スイムのスピードが自分の武器。いかに早く自分の展開に持ち込めるかが鍵です。まだランには課題がありますが、少人数でバイクを逃げて、ランで粘る展開を理想としています」
その理想がひとつの形になったのが、昨年のワールドトライアスロンカップ/サン・ペドロ・デ・ラ・パスだろう。最終順位こそ13位だが、スイムをトップで上がり、バイクを集団で逃げる展開に持ち込めた。
「思うように走り切れなかった部分もありますが、展開としては理想に近かった。スイムで前に出て、少人数のバイクで後ろを離す──その形を確立していきたいです」
競技を“自分だけの戦い”ではなく、“環境と人の総合戦”へと視点を変えられたのは、成長の証だ。標高や気温など外的要因を含めて考えられるようになり、レースを客観的に捉える力が増した。
「競泳は自分の泳ぎに集中する競技。でもトライアスロンは常に状況が変わる。瞬時に判断し、選択する力が身についたことが大きな成長です。選択肢が多いほど迷いも生まれますが、優先順位を瞬時に決められるようになったのは自分の財産です」
「できないことは当たり前。でも、できるまでやることが大事」という飯島健二郎監督の助言を胸に、トレーニングを重ねる。競技者としての誠実さは、日々の積み重ねに宿る。
「JOCの標語にもなっている“人間力なくして競技力なし”という言葉。挨拶や報告・連絡・相談、人との関わり方──そうした礼儀や態度を磨くことが競技力につながると実感しています。今の自分があるのは支えてくださる方々のおかげ。その感謝を忘れずに軸をぶらさずにいたいです」












