グレイシー一族に恨まれ、倍返しされた格闘家の波乱万丈すぎる戦い~失神、骨折、網膜剥離~

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人生最大の下克上、夢描いた大晦日の舞台でピーター・アーツ戦が実現

ダン・ヘンダーソン戦 (C)関根孝

――右腕の状態が不完全なまま、約9ヶ月後にはダン・ヘンダーソンとの復帰戦
大山:その頃ちょうど、PRIDEが消滅するかも?という時期で、みんなで素晴らしい試合をして大会を盛り上げようという空気に包まれた試合でした。だから殴り合いの気持ちでいったんですけど、ファーストコンタクトで意識が完全に飛んでしまって。でも無意識に体が動いて殴り合いをしていて、殴り合いをしている時に意識が戻りました。結果的には右フックで負けてしまいましたけどね。その試合後に今度は左目の網膜剥離をやってしまって、それで両目共にやっちゃいました。

――1年以上のリハビリからの復帰戦があのミルコ・クロコップ。毎回のモンスター級ファイターとの戦いで、心は折れないのでしょうか?
大山:「次こそはきっと自分の力を発揮して勝てる」という思いでリハビリ中もやっていました。ミルコとの対戦が決まったのが3週間くらい前で、本気で勝てると思っていましたから。でも、開始1分くらいでKO負けしました。それが最後のPRIDEの試合になりましたね。

――その後、K-1・HERO’Sに活躍の場を移し、2005年の大晦日に行われた「K-1 PREMIUM 2005Dynamite!!」ではミスターK-1ことピーター・アーツとのビッグマッチが行われました
大山:その年の初めの方に「大晦日の大舞台でピーター・アーツと戦って秒殺する」という根拠のない目標を立てたんです。そこから7ヶ月くらい、当時スーパースターだったピーター・アーツを倒すことだけを目標にずっと練習を重ねてきました。でも、当時の僕は実績もないので、当然大晦日のラインナップに名前が上がらなかったです。それでも僕は大晦日のリングに立てると信じて、試合の予定もないのにトレーニングを続けていました。そしたらまさか、ピーター・アーツの対戦相手が怪我で欠場になり、急遽僕に白羽の矢が立ちました。試合の9日前ですからね。年末、試合の予定もないのにそんな直前まで準備をしている人なんて僕以外いなかったんでしょう。対戦できると聞いた時は「よし、やってやるぞ」って思いましたよ。結果、1ラウンド30秒タップアウトでピーター・アーツ相手に一本勝ちをすることができました。ずっと思い描いていた姿を実現できて、本当に興奮しましたね。信じる事ってすごいパワーだなって実感しました。

「一発逆転」を目指し、何度でも立ち上がる原動力は「妄想力」

――格闘技の歴史に名を残すようなモンスター級のファイターと戦い続けてきたなかで、怖いとかそういう感情はなかったのでしょうか?
大山:そういった百戦錬磨の選手たちと対戦できることにワクワクしていました。「これ、勝ったらどうなるんだろう」って。しかも現役中は僕も勘違いしているから、相手がそこまでモンスターのような選手だとは思っていなかったんですよ。引退して振り返ってみると、すごい選手と戦っていたんだなという思いが湧いてきましたけど、当時は全然。絶対に勝てると思っていたので、負けた時は本気で落ち込みました。今考えると無茶苦茶なラインアップだったと思うんですけど、現役時代は「こんなにチャンスをもらっているのに勝てないなんて…」って自己嫌悪はありましたね。

――試合中に意識を飛ばしたり、腕を折られたり、失明の危機になったりして、それでも立ち上がることができたのは何故でしょうか?
大山:負けるとやっぱり心は折れちゃうんですけど、また繋いで立ち上がっていましたね。その治療薬は「妄想」するということ。頭の中で勘違いを起こさせるんですよ。「こうなったらどれだけ嬉しいのかな」「周りが喜んでくれるのかな」「会場がどれだけ盛り上がるのかな」とか。勝った時の映像を頭の中で描けるんですよね。その描いた夢のために頑張れるし、それが希望になっていました。格闘技の素晴らしいところって、一発逆転、下克上があるところなんですよ。「次の試合で勝てたら俺の人生ひっくり返るんじゃないか」という思いがあったので、「次こそは」「この試合勝ったらどうなるんだろう?」っていう妄想力で続けてこられました。

――妄想力、メンタルが強すぎます…。恐怖を感じたことは?
大山:対戦が決まると最初は「勝ったらどうしよう」ってワクワクするんですけど、試合当日になると急にリアルになって、ものすごく怖くなるんですよ。僕の場合、試合前日まで軽量をパスした安堵感とかもあっては高揚感があるんですが、当日の朝は喋れないくらいにものすごい恐怖が襲ってくる。極端な言い方ですが、会場着くまでは死刑台に向かって行くような恐ろしさで、このまま着かなければいいのに、と思っていました。

――負けてしまうのではないかというプレッシャー?
大山:負けたらどうしようという恐怖とか、生命体としての恐怖とか、いろんなことが急にリアルになるんです。僕だけでなく、選手みんなその恐怖を乗り越えて会場に来て、勇気を奮い立たしてリングに上がっています。試合に勝利してリング上でスポットライトを浴びている選手がいて、その反対側では負けて号泣している選手がいる。だけど、あのリングに立つだけでもものすごいことで、誇るべきことだと思います。

――たくさんの恐怖や試練を乗り越えて戦い続けてきた大山さんも40歳で引退を決意
大山:僕の場合、格闘家人生で想像以上に体や脳のダメージが溜まっていたんですよね。最後の方はちょっとかすったパンチで意識が飛ぶようになっていました。それで引退を決意しました。引退試合は桜木裕司選手と対戦して、「勝っても負けても真っ向勝負」という僕のテーマを果たせた試合になりました。最後も負けてしまいましたけど、あの試合で未練が断ち切れたと思っています。

――引退後は「ファイトネス」を中心に一般の方の心と体の健康維持サポートを行なっていますが、格闘技を通して学んだことはどんなことでしょうか?
大山:ファイトネスはおかげさまで100社以上とやらせてもらってきましたが、現役時代に培った未来を妄想する力や行動力というものは第2の人生で必ず役に立つと感じました。僕はたくさん負けてきましたけど、今思えば全ての事が財産になっています。格闘家としてはチャンスをものにして成功できた方ではないですが、チャンスが来ることを信じて努力し、怖がらずに挑戦してきたこと、信じる力は僕の強みだと思っています。世の中、過去の実績を見て目標を決めがちですよね、「今までこのくらいやってきたから、このくらいが現実的だろう」って。でも、僕はまず「ここに行きたい!これがやりたい!」って目標を決めます。そしてそこに行くために努力します。やりたいことだから、実現した時のことを考えると楽しくてワクワクするんですよ。そういった格闘技で培った妄想する力、信じる力、そして行動する力が今も僕を突き動かしています。





※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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大山峻護(おおやま・しゅんご)

5歳で柔道を始め、全日本学生体重別選手権準優勝、世界学生選手権出場、全日本実業団個人選手権優勝という実績を持つ。2001年、プロの総合格闘家としてデビュー。同年、PRIDEに、2004年にはK-1・HERO‘Sにも参戦。2012年ロードFC初代ミドル級王座獲得。現在は、企業や学校を訪問し、トレーニング指導や講演活動を行なっている。著書に「科学的に証明された心が強くなる ストレッチ」(アスコム)。10月中旬にビジネスマンのメンタルタフネスを高めていくための本「ビジネスエリートがやっているファイトネス~体と心を一気に整える方法~」(あさ出版)を出版予定。

大山峻護さんInstagram
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「科学的に証明された 心が強くなる ストレッチ」
ファイトネス
http://shungooyama.spo-sta.com/

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