阿部巨人 笑顔なき開幕初勝利の裏側 「秘めた思い」「復活を願った選手たち」とは

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 しかし会心の勝利にも指揮官が勝利監督インタビューで笑顔を見せることはなかった。ベテラン梶谷の攻守にわたっての活躍には「場数を踏んでいるなと。素晴らしいですね」と冷静にたたえながら、指揮官としての初勝利には「最高ですね」と現役時代の決めぜりふを言いながらも、満面の笑みを見せることはなかった。

 背景には勝利への渇望感がある。ここ2年は連続4位と常勝軍団には厳しい低迷ぶりで、様々な面で批判の目にさらされた。すべては4季ぶりのV奪回のために。勝利監督インタビューで語った「今日勝つためだけにやってませんので」という言葉に、秘めた思いをにじませた。大事な1勝には違いないが、手放しで喜ぶわけにはいかないということだろう。

 またこの日は開幕戦初勝利の立役者となった梶谷、左翼には同じくベテランの丸佳浩を起用した。チームでは西舘、ドラフト3位ルーキーの佐々木俊輔、同じくドラフト4位の泉口友汰の開幕1軍入りが話題を集めたが、指揮官はベテランに目を配ることも忘れなかった。

 昨年不振にあえいだ丸には「まだできる」とメッセージを送り、梶谷もキャンプ2軍スタートとしながら、オープン戦途中で合流させるとすぐ本塁打を放つなどしっかり調整に努めてきた様子を見ると、開幕スタメンに起用した。若手、ベテランの融合、チーム内好循環を実現させたのは、全員野球を打ちだす青年指揮官の細かいケアにあった。

 昨年わずか6勝しかできなかった阪神にまずは一矢報いた。新風吹き荒れるシーズンへ、まだまだ快進撃を続けていく。





[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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