どん底だった借金15からの劇的V字回復 “新人監督”の下で推し進められた改革の裏側 苦悩の期間を支えた側近たちが証言した「軌跡」とは?【DeNA】
頭を悩ませながらもチームに地力を受け付けてきた相川監督(C)萩原孝弘
源泉となった「意識の変革」
さらにシーズン途中の6月に加入して4番に座った新助っ人のヘラル・エンカーナシオンが早々にチームにフィット。打線の軸となり、「いいサイクルがずっと長いこと続いた」。一過性の「勢いだけではない」という要因はここにある。
つまり個々の成長、そしてチーム内での役割分担が絶妙に噛み合い、投手、野手それぞれがチームの中で機能する。その積み重ねが、終盤の粘りに繋がっていった。
また、相川監督が終盤戦にかけて感じ取っていた局面での判断力の成長を、ディフェンス面から支えたのが、藤田一也守備コーチだった。
現役生活の楽天時代の2013年にリーグ優勝からの日本一を経験していた名手は、野球における流れをコントロールするための意識改革を1年間に渡って徹底して求めてきた。
「ディフェンスでミスすると負ける試合が多いので、それをどれだけ減らせるか。いいプレーで抑えて攻撃に行くという流れが、今年1年の最後のほうに選手たちにも少しずつ染み付いてきた」
データによって算出された相手打者の打球方向を頭に入れることに加え、自らの感性で動く――。与えられた役割をこなすだけではなく、状況を見ながら自分たちで判断する。その意識の変化もまた、借金15を跳ね返す粘り強さの源泉となった。
「与えられたことをやるだけじゃなくて、自分たちでも考えながらプレーができるようになってきた。口うるさく野球の流れやワンプレーの重みを1年間ずっと言ってきたので、みんなの意識が少しずつ変わってきたと思いますよ」
守備陣が見せた精神的な成長に、藤田コーチも確かな手応えを口にする。
借金15というどん底の中で戦力を見極め、若手を鍛え上げ、投手を軸とした勝ちパターンを愚直に作り上げてきた。その先に掴み取ったレギュラーシーズン3位という結果は、一時の勢いではなく、積み重ねてきたものの証しだった。
「短期決戦に入っていくと、そういう小さいミスが命取りになる。またそこで来年に向けて戦い方という部分でも、もっと成長できる場所でもある」
次なるステージを見据えた藤田コーチが、そう語るように、再度気を引き締めての戦いとなるポストシーズン、そして来季に向けてチームはさらなる高みを目指す。
苦難を乗り越えて地力をつけた相川ベイスターズが真の強さを証明する戦いは、ここから始まる。
[取材・文/萩原孝弘]
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