「横田の全力疾走、諦めない心は胸の中にある」梅野隆太郎が漏らした“野球が大好きだった友”への消えぬ想い 心が折れかけた苦境で支えとなった「言葉」【阪神】
レギュラーとしての立場ではなくなった。それでも梅野は腐らず、ただひたすらに「自分のできること」を重ねた(C)産経新聞社
キャリア初の2軍スタート。それでも重ねた早出での打撃練習
梅野隆太郎にとって「7.18」は3年前から特別な日になった。
「もう3年経ったのかと感じるし、今でも(23年の)追悼試合の巨人戦のことだったり、ふと思い返すことはあります。野球が大好きだった横田の思いを持ちながら、今でもプロの舞台で選手としてプレーできていることに感謝して」
今年も思いを馳せたのは、2023年7月18日に脳腫瘍で亡くなった横田慎太郎さんのことだった。2013年のドラフトで同期入団の後輩。野球が大好きで、毎日ユニホームを泥だらけにして白球を追いかけていたかつての同僚が亡くなってから3年が経った。梅野は「横田の全力疾走、絶対に諦めない心っていうのはずっと自分の胸の中にある」と語るように、亡き友の魂も胸に秘めてプレーを続けてきた。
そんなスピリットを宿しながらも、今季の梅野は何度か心が折れそうになるほどの苦境に立たされてきた。
プロ13年目の今季はキャリア初の開幕2軍スタート。近年コンデョション面で不安のあった肩の状態も上向いた中でキャンプインを迎え、ファームの具志川キャンプから上昇気流を描いてきたはずだった。
ただ、チームには昨オフに島本浩也とのトレードで日本ハムから伏見寅威が加入。そして、昨季に主戦捕手を担った坂本誠志郎も健在。開幕はその2人に加えて、若手の中川勇斗、嶋村麟士朗が捕手のロースターに入った。ただ、「自分は今できること、目の前のことをやっていくだけなので」と球春到来を初めて2軍で迎えても、梅野の気持ちはぶれることなく静かに燃えてもいた。
2軍本拠地のSGL尼崎では早朝に球場入りし、早出での打撃練習を行った。1軍の首脳陣も開幕後にベストのタイミングで昇格させる考えがあっただろう。その時に備えて、万全の状態に仕上げるべく、梅野は鍛錬を積んできた。
今季初昇格は4月25日に迎えた。同日の広島戦で9回から途中出場でマスクをかぶると、阪神ファンが埋め尽くした本拠地・甲子園のスタンドは一気に沸いた。
「本当にありがたいし、感謝しかない。選手として、この舞台で戦えるというのは幸せ。結果で恩返しができるように」
梅野は再出発を後押しするような聖地の歓声に決意を新たにしていた。
そして、5月24日のジャイアンツ戦では、23年以来、実に1085日ぶりとなる本塁打も記録。5年ぶりでもあった決勝本塁打に「ファームのスタッフさんが有意義な時間をつくってくれたから今がある。恩を返していくしかないので」と頷いた。開幕からの約1か月を過ごしたファームでの日々が結果となって表れた一本だった。













