「東さんってあんまり首を振らないんです」エースから突き付けられる“ド直球”の言葉 24歳捕手が語る工藤-城島を彷彿とさせる“バッテリーの真髄”【DeNA】
苦しい登板日に深まる「ド直球」の信頼関係
エースとして常に勝利を求められる東にも、時に苦しい登板日がある。9月22日の中日戦では5回(96球)を投げて、被安打7、3失点でマウンドを降りた。
「やっぱり一発ある打線なんで。自分が慎重になりすぎたというか。点取ってもらった中で不用意な失点しちゃいけないとか、自分の中での精神的な部分で後手に回ってしまったのかな。自分らしさというか、ストライクをガンガン取って攻めていくっていう投球が今回はできなかった。自分自身でほんとに精神的に追い込みすぎたところが今日のピッチングの反省点かなと思う」
丁寧に投げようとした結果が受け身の投球を招いた。そんな登板後、古市が明かしたのが、東との関係性だった。
「東さんってあんまり首を振らないんですよ。そして、思ってることはハッキリと言ってくれるんです。『いや、俺はここはこう思った』って。その時は首を振らずに違うと思っても投げてくれて、打たれても『あそこはこうだった』ってド直球で言ってくれるんですよ。
実はそういうことってあんまり言わないピッチャーが多いんです。でも言ってくれるってことで、気遣わず言い合える。『僕はこう思ったんでこうしました』ってはっきり言えますし、そういう関係性を築いてくださるので次に進めます。何の遠慮もなく言えるっていう方がいいのかなと思います」
東は出されるサインを信じて投げる。その一方で、自分の考えは試合後にきちんと言葉にする。リードをする古市も自分の判断を伝える。
「ほんとにちゃんと投げきって打たれるんで、こっちのせいだと思える。ほんとにすごいです。そして楽しいんです。今日もコミュニケーションを取って、次はこうしていこうっていう話もできました」
東が投げ切ってくれるからこそ、古市はリードとより深く向き合える。球史を振り返れば、かつて福岡ダイエーホークスで工藤公康と城島健司が築いた関係も、その一例として知られる。古市が語る「はっきり言ってくださるからこそ、気兼ねなく言い合える」という言葉からも、同じようにエースが捕手を育てる“対話”の力がある。
そして東自身も、山本祐大とのコンビで最優秀バッテリー賞を受賞するまでに成長してきた。そんなエースと今、古市が新たなバッテリーを築いている。
「東さんと組むのは本当に楽しい」
その言葉には、エースを支える重圧だけではなく、バッテリーを組む時間そのものを楽しみながら成長につなげようとする古市の姿勢が滲み出る。
「騙し合い」の配球と、「ド直球」の対話。その両方を経験できる球界最高水準のエースとのバッテリーは、古市にとって、捕手としてレベルアップするための大きな経験になっている。
[取材・文/萩原孝弘]
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