「出さんのかい」からのズドォォン! 上田綺世はなぜ“スーパーゴール”を決めるのか 日本代表エースに“普通のゴール”が来ない理由【W杯】
この先の戦いでも上田のスーパーゴールがチームを救う場面が来るか(C)Getty Images
理由はチュニジア戦の4分の1点目と、69分の3点目を振り返れば、明らかだろう。1点目のシーンで、上田はポストプレーに下がり、右サイドをドリブルで持ち運んだ後、田中へパス。その後、中村敬斗を経由する間に、上田もゴール前へ走り込むが、すでに鎌田、伊東、田中とゴール前には先客が3名。上田は4番目だった。そして、鎌田がゴールを決めている。
3点目の場面は、上田が相手CBを釣り出し、空いたスペースへ走り込んだ伊東に絶妙なフリックパスを送った。上田は伊東のゴールをアシストした。
つまり、1点目のゴールにおいては、上田はアシストの前にあたるセカンドアシストの、さらに前、サードアシストをした。3点目のゴールではアシストを記録している。言ってしまえば、上田自身がスマッシュドライブを決めた2点目も、普通にプレーしていれば、伊東へのスルーパスでやはりセカンドアシスト辺りに留まっただろう。
現代サッカーの1トップ、特に日本代表においては、美味しい得点機会やシュートスペースは大半がシャドーやウイングハーフの下に転がる。1トップの上田は、そのお膳立てや相手DFの引きつけ役になることが多いのが現状だ。
「9本のスーパーゴールと、10本の普通のゴール。どちらかを選べと言われたら、どっち?」
上田が大学生の頃、ファン・バステンの名言になぞらえた質問をしたことがある。彼の答えは迷わず「10本の普通のゴール」だった。ストライカーとしては、100点満点の回答だ。
しかし今、上田に「普通のゴール」を決める機会があるかと言えば、ほとんどない。無理な体勢でシュートしたり、相手のきついマークに耐えて打ったり、あるいは味方をおとりにしてエゴを出したり。そんなこんなで、どうにか捻り出すゴールは状況が厳しいので、どれもスーパーゴールばかりだ。今回の2ゴール然り、ブラジル戦のCKゴール然りだ。
クラブとは違い、 日本代表では得点王を取りそうなプレースタイルではないかもしれない。だが今後、強敵との対戦では、そもそも簡単なゴールなど許してくれないはず。スーパーゴールでなければ試合を動かせないとき、再び上田のスマッシュドライブが火を吹くかもしれない。
[文:清水英斗]
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