【医師に相談】手術後の傷の痛み(術後疼痛)にはどのような症状がありますか?
Q:痛みの原因となる「モヤモヤ血管(異常新生血管)」とは何ですか?なぜ慢性的な痛みを引き起こすのですか?
モヤモヤ血管とは、痛みの原因部位や慢性的な炎症が続いている場所にできてしまう「異常な毛細血管」のことです。
実は人間の身体には「血管と神経が一緒になって伸びる」という基本ルールがあります。手術時のダメージや引きつれ(癒着)によるストレスでモヤモヤ血管が増殖してしまうと、その周囲に痛みを感知する「過敏な神経」も一緒に異常増殖してしまいます。
増えすぎた神経は、わずかな体温や天候の変化、衣服の軽い摩擦による刺激さえも「激しい痛み」として過剰に受け止めて脳へ伝えてしまうため、しつこい慢性痛の悪循環が完成するのです。
Q:私の手術後の傷の痛みは「モヤモヤ血管」が原因でしょうか?見分けるためのセルフチェック方法はありますか?
以下の項目のうち「2つ以上」当てはまる場合、手術跡の周辺に痛みの原因となるモヤモヤ血管が非常に高い確率で発生していると考えられます
ピンポイントの圧痛
自分の指で手術跡やその周辺を軽く押すと、「ここを押すと飛び上がるほど痛い」という特定の場所やしこりがある。
じっとしている時の疼き
身体を動かしていなくても、傷跡の奥が「ズキズキ」「ジンジン」「重だるい」と疼くような痛みが持続している。
朝や動き出しの痛み
朝起きた時や立ち上がろうとした時などに、手術跡の周辺に「ピキッ」と引きつるような強い痛みが走る。
就寝時の痛み
寝返りを打とうとした際や、寝ている姿勢によって手術跡が圧迫されて痛みで目が覚めてしまう。
環境・気候の影響
冬の寒い日や冷房で体が冷えた時、または雨の日などの低気圧の時に、手術跡が特に疼くように痛む(お風呂で温めると和らぐ)。
Q:術後疼痛を和らげる方法(疼痛コントロール・緩和方法)はありますか?飲み薬が効かない治りにくい痛みはどうすればいいですか?
手術直後〜数日の急性期には、複数の痛み止めや、患者さん自身で痛みを管理するPCポンプ、神経ブロック注射などを組み合わせる「多角的(マルチモード)鎮痛法」で痛みをコントロールするのが標準的です。
しかし、痛みが数ヶ月以上長引いて慢性化し、一度モヤモヤ血管と神経ができてしまうと、一般的な痛み止め(飲み薬)や湿布では到底太刀打ちできないことが多くあります。
このような長引く痛みに対しては、異常な血管(モヤモヤ血管)や過剰な炎症反応を対象に治療する「運動器カテーテル治療」が知られています。
点滴に使うごく細の柔らかいチューブからお薬を注入し、痛みの原因である異常血管をピンポイントに退治するメスを使わない日帰りの治療です。数年間ずっと痛くて、着替えも困難だった傷痕の腫れや痛みが、この治療によって劇的に改善したというご報告があります。
[文:オクノクリニック | モヤモヤ血管による慢性痛治療]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
奥野祐次 M.D., Ph.D.(医師・医学博士)
オクノクリニック 総院長
専門分野:慢性疼痛、モヤモヤ血管に対する血管内治療、カテーテル治療・動注治療、画像診断(MRI・エコーを活用した精密な痛みの診断)
2006年3月、慶應義塾大学 医学部 卒業。2008年より放射線科医として血管内治療に従事し、2012年3月、同大学大学院医学研究科博士課程を修了(研究テーマ:「病的血管新生」)。同年4月より江戸川病院にて運動器疾患に対する血管内治療を専門に担当。2014年には同院「運動器カテーテルセンター」センター長に就任。2017年10月、神奈川県・センター南にて「オクノクリニック」を開院。
現在東京を中心に全国10院を運営するオクノクリニックの総院長。運動器カテーテル治療の専門医として、長年にわたり痛みに悩む患者の治療に取り組んでいる。
【関連記事】こむら返りは「体からの危険信号」?深刻な病気が隠れている可能性も
【関連記事】【医師に相談】グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)とはどのような病気ですか?












